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ソウ・エクスペリエンス株式会社
その他サービス業
関東
50〜99人
File.100
個々の事情に合わせた多様な働き方を認めることで、高い定着率をキープ 体験ギフトを企画・販売するソウ・エクスペリエンス株式会社の場合
2022.01.24
2005年の創業以来、「体験ギフト」分野を開拓してきたソウ・エクスペリエンス株式会社。事業が成長するに伴って、当初3人だった従業員も増加した。提供するサービスや企業の考え方に賛同して入社し、長く働き続けているメンバーが多いのが特徴だ。出産や育児に代表されるライフステージの変化にも柔軟に対応する制度の土台には、創業者である西村社長の考え方と企業としての戦略があった。
社長自身の経験からスタートした「子連れ出勤」
2005年にソウ・エクスペリエンス株式会社を設立した西村社長は、小学生の子を持つ父親でもある。会社の立ち上げから数年たった頃、当時まだ1歳ほどだった子どもを連れて出社することがあった。その後導入された「子連れ出勤」には、西村社長のこの経験も活かされている。従業員がまだ10名程度だった頃、ある女性スタッフが出産し産休に入った。現場は少ないメンバーでなんとか仕事をフォローし合っており、一方で休職中の本人は早く復帰したいと希望していた。そこで、以前から西村社長自身が行っていた子連れ出勤を試してみることに。最初は、まずやってみて無理が出てきたらやめるつもりだったというが、結果、他の従業員も利用する制度になっていった。
職場に子どもを連れていくと聞くと、企業内託児所のような独立したスペースを想像するかもしれない。しかし、オフィスには子どもたちが過ごしやすいよう土足禁止スペースが設けられているものの、働く親のすぐ近くに子どもたちがいる。特別な準備は、子どもたちが動画を観られるようにタブレット端末を用意したくらいだ。抱っこ紐で子どもを抱えながらパソコンに向かう従業員や、デスクにブロックを並べて遊ぶ子どもがいるなど、すぐ横に子どもがいる風景が当たり前になっていたという。もちろん、すべて思い通りに仕事が進むわけではない。「子どもを連れて仕事をするのはやはり大変です。だから、100%のパフォーマンスは求めていません」という西村社長。たとえ一定期間、仕事の効率や成果が下がったとしても、長い目で見るとその人が会社に居続けてくれる方が仕事の習熟度という意味でも採用コストの面でも良いと考えているのだ。「人材の定着が会社の強さになると考えているので、良い人材には長く働いてもらいたい。これは、会社のためになるという、僕らなりの戦略なんです」
働き方の選択肢の多さ、多様性が強み
事業開発チームで商品開発などに携わる佐藤さんは、2児の父親だ。「いざという時に、子どもを連れていくという選択肢があるだけでも心に余裕が持てます」と話す。現在はリモート勤務だが、子どもがいる自宅ではメールの返信などを中心に、商品のコンセプトを練る時にはシェアオフィスを利用して集中するなど、仕事の内容によって働く場所を選んでいる。子連れ出勤を経験したことによって、子どもがいる自宅でのリモート勤務にもあまり戸惑わずに済んだとも話してくれた。
ソウ・エクスペリエンス株式会社では子連れ出勤の他に週休3日勤務を採用、また、副業も認めている。佐藤さんは現在、個人事業主である妻の仕事を手伝っており、状況によっては、今後週休3日勤務を検討するかもしれないという。「本業を取るか副業を取るかの2択ではなく、たとえば本業を8割程度にする選択もできるのがとても良いと感じています」と佐藤さんは言う。
「個人の希望に合わせた働き方が可能だ」というと従業員の希望をなんでも聞いてくれる会社という印象があるかもしれないが、実際は少しニュアンスが違っている。「こう働きたい」という個人の希望が、本人だけでなく会社のためになるという認識が前提として一致しているのだ。この企業風土こそが、ソウ・エクスペリエンス株式会社の「働きやすさ」につながっているのかもしれない。
リモート勤務で場所に縛られない働き方を模索
システムチームで働く高橋さんは、WEBディレクターとして社内エンジニア6名の仕事をまとめている。エンジニアはネット環境があれば業務可能ということもあり、チームは現在フルリモート中だ。リモート勤務によって、時間だけでなく場所にも縛られずに勤務することが可能になった。高橋さんは以前、1週間ほど瀬戸内海の島に滞在しながら仕事をしたことがある。「他のメンバーの選択肢にも入ればいいと思った」という言葉通り、その後、北海道で1週間勤務したエンジニアがいたという。「夏場なら涼しい場所の方が効率よく働けますよね。そう思った時に迷わず実行できる空気にしておきたかったんです」と話してくれた。
チームには週休3日勤務のエンジニアもおり、それぞれの稼働日に合わせてスケジュールを組むのも高橋さんの役目だ。「この会社に入社して、みんなが自分のペースで働けるようにしてあげたいという意識が芽生えました」という高橋さん。長年WEBディレクターとして勤めてきたが、前職までは働く環境についてさほど気にしていなかったという。そんな高橋さんの意識が変わるきっかけは、「1週間の中で、今日はあんまり仕事したくない日ってあるじゃん」という西村社長の何気ない一言だった。高橋さんは「その感覚は間違いないと思いました。そして、それでも頑張るのではなく、他の日に集中すればいいという価値観に変わったんです」と話す。自身も無理な働き方をしなくなった分、プライベートの時間が充実。見たものや感じたことの中で自社のサービスに活かせそうなことは積極的に社内で共有している。
時間を使うからには納得して働いてほしい
ソウ・エクスペリエンス株式会社には、気になる話題やスポット、自身が体験したことを社内のチャットで気軽に共有する文化が根付いている。このようにネットを介しての交流が自然に行われてきた会社ではあるが、それでも全社的なリモート勤務にあたっては、話しかけるタイミングが難しいなどコミュニケーションに関する課題があるという。「遠方の人と会えない時間を過ごす中でギフトの需要が高まっているように、社内などちょっとしたコミュニケーションにもオンラインギフトが役立つのではないか」と西村社長は言う。目指すのは、心を豊かにする、必要とされるサービスだ。
「従業員にもそれぞれの人生がある。その大切な時間を費やすからには、納得して働いてほしいんです」と話す西村社長。その言葉には、贈り物によって豊かさや充実した時間を提供する、サービスの根幹にある考えが表れている。
CASE STUDY働き方改革のポイント
「子連れ出勤」の運用
- 効果
- 保育園に入園できなかった場合など、これまで職場を離れるしかなかった従業員が働き続けられるように。産休・育休からの復帰率もほぼ100%を維持しており、優秀な人材が定着している。
個人の希望に合わせ、柔軟に対応
- 効果
- 子育てに限らず、様々な事情に合わせた働き方を用意。従業員の利益が会社の利益につながるという共通認識の下、それぞれに負担のない仕事量やスケジュールを実現した。
COMPANY DATA企業データ
「体で験(ため)す」のが、体験。<br>時が経ち体験した個人に内面化されると、それは経験。<br> 私たちソウ・エクスペリエンスは体験の提供を通じて個人の経験の積み重ねをサポートし、ひとりでも多くの、少しでも多くの幸せと希望を増やせるよう尽力します。
ソウ・エクスペリエンス株式会社
代表取締役:西村 琢
本社:東京都渋谷区
従業員数:81名(2022年1月現在)
設立:2005年5月
資本金:6,803万円
事業内容:体験ギフトを主軸としたギフト商品の企画・販売
経営者略歴
西村 琢(にしむら・たく)
慶應義塾大学卒業。2005年5月にソウ・エクスペリエンス株式会社を設立し、代表取締役に就任。