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株式会社西条環境分析センター
その他サービス業
中国・四国
10〜29人
File.174
「入社して良かったと思える会社をつくりたい」働きやすい職場環境を整備 ―地域社会の環境保全・職場環境の向上に貢献する「株式会社西条環境分析センター」の場合―
2024.03.22
愛媛県西条市の株式会社西条環境分析センターは、環境ビジネスの未来を見据え、1979年の創業以来、水質・排ガス分析などを通じ地域の環境保全に貢献している。「正確な測定」「迅速な報告」「適正な料金」を掲げ、2010年にISO9001を取得し高い技術力でお客様との信頼を築いている。こうした中、「入社して良かったと思える会社」を目指し、2013年には厚生労働省くるみんマーク「子育てサポート企業」に認定され、また、全社員がフレックス制を採り、時間単位の介護休暇など世代にあった職場環境を構築している。
パート社員の待遇確認と正社員転換制度の検討
代表取締役の松永光弘氏は、働き方改革へ取り組んだきっかけを次のように語った。
「『入社して良かったと思える会社をつくりたい』という先代社長たちの志を継ぎ、地域の信頼を築きながら、働きやすい職場環境への改善に取り組んでいます。現在、社員の約1/3がパート社員で、組織の一員として重要な貢献をしています。正社員とパート社員の垣根を越え、様々な世代やライフステージに合わせた働きやすい待遇や職場環境を考える必要性を認識し、その実現に向けて改善が必要と感じています。お互いが協力し合い、多様性を尊重する企業風土を育み、職場全体が活気に満ちることが、成果を上げる会社につながると確信しています。」
働き方改革へ取り組んだきっかけを語る代表取締役の松永光弘氏
パート社員も能力を発揮し、貢献できるように、同一労働同一賃金の原則に基づき、職務を公平に評価したいと考え、職務分析・職務評価を行った。具体的には、評価を行う部署を選定し、職務内容を洗い出して可視化し、職務の難易度や責任を評価して理解した上で、正社員とパート社員の待遇差の確認を行った。その結果、基本給について均衡が図られていると考えられた。また、同一労働同一賃金の原則に基づき、資格手当なども同水準で、月額賃金にて均衡待遇と考えられるものであった。パート社員の能力・モチベーションを向上させるため、正社員転換制度の導入のアドバイスを受け、2024年の実現に向けて準備を行っている。
仕事と生活が調和した労働時間、休業・休暇制度の活用
介護や親族の病院診察の付き添いなど時間単位の休暇を必要とする場合では、介護休暇の時間単位取得、デイサービス送迎など短時間で対応できるものはフレックス制度を使い柔軟な働き方を実現している。介護休暇は中抜けが可能で、有給であるため取得促進につながり、年次有給休暇を介護以外の自由な目的で取得できる環境が整っている。また、今年の産後パパ育休の取得者は、里帰り出産ではない子育て環境での育児に専念している。時間単位の介護休暇制度や男性育児休業の取得実績を通じて、社員の仕事と生活が調和した働き続けられる職場環境のビジョンが具体化している。
理解と協力、「標準作業書」作成で働きやすい環境整備
働きやすい環境づくりの鍵は、経営者と労務担当者が共通の理解を持ち社員へわかりやすく制度の説明を行うことである。社員が制度の利用に対して意見を出しやすい環境を重視し、「お互い様」の気持ちや職務理解も必要であると認識している。各業務の手順を記載した、「標準作業書」を作成したことにより数人で業務を担当でき、引継ぎもスムーズにサポートが行える環境となった。これによりフレックスタイム制や各種休業・休暇制度(育児休業等や介護休暇・年次有給休暇・リフレッシュ休暇)の取得促進が実現している。
ラボチームリーダーのAさんは、今回の取り組みを振り返ってこう話してくれた。
「2002年に入社しパートから正社員に転換して、現在はラボチームでチームリーダーをしています。業務が適切に分担され、「標準作業書」により数人がサポートや引継ぎが可能な環境で、急な病欠や家族旅行の休暇も取りやすいです。フレックスタイム制度があるおかげで、始業・終業の時間が選べ、早く帰って家庭のことをしたい私には本当にありがたいです。中抜け時間を参観日に利用している社員もいます。私生活が充実しているおかげで、仕事も頑張ろうというモチベーションがアップしています。」
職務分析・職務評価を活用し、長期的な働きやすさとモチベーション向上に向けた職場環境へ
株式会社西条環境分析センターの取り組みを支援した社会保険労務士の田渕美紀氏は次のように語っている。
「訪問当日、全15名の社員のうち4名が休暇・休業中(年次有給休暇・育児休業等・リフレッシュ休暇)で休暇取得しやすい環境を実感しました。オフィスリーダーとラボリーダーの会話『遊びに行くので休みとるよ』『私もUSJ行くの』と、コミュニケーションが印象的でした。また環境整備に力を入れてきた様子が『標準作業書』などから伺えました。今回の職務分析・職務評価から、パート社員の長期的な働きやすさやモチベーション向上に焦点を当て、2024年の制度設定に向け正社員転換制度の導入をアドバイスし、準備中です。」
取り組みを支援した社会保険労務士、田渕美紀氏
CASE STUDY働き方改革のポイント
同一労働同一賃金:正社員転換制度導入準備
- 効果
- 職務分析・職務評価でパート社員の公平な待遇を検討・確認できたことにより2024年正社員転換制度の導入の基盤ができた。
ライフステージに応じた柔軟な働き方の実現
- 効果
- 現在、「産後パパ育休」「介護休暇の時間単位取得」により若手とベテランがそれぞれのライフステージに合わせて休業・休暇制度を活用している。
理解と協力・「標準作業書」導入で休暇促進
- 効果
- 経営者と労務担当者の理解、制度説明、「標準作業書」の活用で、業務の引継ぎがスムーズになり、各 休暇制度の利用が促進した。
COMPANY DATA企業データ
企業理念は「信頼」です。分析・測定を通じて顧客の信頼を得、顧客とともに健全な地域社会の発展に貢献し、快適な自然環境づくりに努めます。
株式会社西条環境分析センター
代表取締役:松永光弘
所在地:愛媛県西条市
従業員数:15名(2023年12月現在)
設立:1979年6月
事業内容:行政・事業所等からの委託を受け、工場の排出物、職場環境の測定などについて検査・分析を行っている。高度な技術と専門知識で、排出物に含まれる物質の濃度を把握し、地域の環境保全、職場環境の向上に貢献している。