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中外電工株式会社

業種

建設業

地域

九州・沖縄

従業員数

50〜99人

File.182

長時間労働蔓延をトップの決断で一掃。 社員の意識改革へ ―社員を大切にして顧客に喜びを届ける「中外電工株式会社」の場合―

時間外労働の削減

2024.09.25

中外電工株式会社

 「建物の中も外も明かりを照らし社会に貢献したい」という思いで中外電工と名付けられた当社は、鹿児島県鹿児島市で一般家庭から企業・公共施設の電気・空調を供給するライフラインを支え、2024年に創立60周年を迎えた。就業者数減少・建設投資先行き不透明・働き方改革態勢整備等の課題はあるが、省エネ・再エネ・DX等新しい技術も積極的に取り入れ「未来型の設備業者」への転換を図る。「社員の幸せなくして会社の未来はない。社員を大事にすることで、お客様をより幸せにしていく」を実践しお客様に愛される会社づくりをしていく。

従来のやり方にとらわれない残業、休日労働削減を英断

 代表取締役社長の東郷光宏氏は、働き方改革の取り組みについて次のように語る。

 「普段から社員にはプライベートや家族との時間を有意義に過ごしてもらいたいと考えていましたが、お客様が休みの土日での作業を求められるケースもあり、長時間労働が減らないジレンマがありました。また、一方で、社員の待遇向上のためにも安定的な利益確保による経営の安定が求められていました。そこで従来のやり方にとらわれず、省力化・効率化に繋がる施策を積極的に進めたいと考え、まずは労働時間削減対策として、20時以降の残業及び休日出勤は社長への事前申請、申請がない場合はパソコンを強制シャットダウンするよう設定し、令和6年4月から実施しています。」

長時間労働削減を進める代表取締役社長 東郷光宏氏

働き方改革の真の目的を理解し、自信をもって取り組み

総務部長・課長が労働時間管理の担当者で、社員の半数以上を占める現場監督らの長時間労働の管理に加え2024年度からの建設業の時間外労働の上限規制適用に悩んでいた。長時間労働が蔓延する傾向にあり、社員もこれが当たり前・残業前提で給料を考える等の悪循環にもなっていた。

 「働き方改革の主目的は生産性向上(効率化・業績アップ)で利益を社員にも還元、昇給や賞与で反映しますよとの会社のメッセージが、社員の働き方改革へのモチベーションとなる」との専門家のアドバイスを受け、自信を持って取り組むことができた。

組織的な省力化・効率化への取り組み

 ①パソコンの強制シャットダウン制度の導入、②ペーパレス化してシステム上の処理、共有化を実現するための使用ソフトの統一化等により、組織的な省力化・効率化を図った。これには、仕事が多くてこなしきれない、自分が使い慣れたソフトが良いなど、社員の反発もあった。しかし時間がくると仕事が強制的に終了するため、各社員が効率化・合理化を意識せざるを得なくなり、結果としてプライベートの時間が確保され、「働き方改革」の好循環が生まれた。

働きやすい職場環境づくりで、人手不足解消へ

 新規採用社員や現社員のために働きやすい職場環境づくりを心掛けている。今後はより密な受注計画、社員の仕事の効率化の意識改革等で生産性向上につなげたい。技術系の採用は、まずは現場に出て知識習得、多能工化を図り、適性判断する期間とし、その後、営業等の内勤も選択できる様にしている。技術系女性は現在は1名だが今後、採用を積極的に行いたい。業務関係の資格取得も、セミナー受講料等の会社負担、御祝い金の支給等、会社がバックアップしている。

効率的な働き方を意識するようになりました

 空調管工事部工事課の戸澤裕太さんは、今回の取り組みを振り返って次のように話してくれた。

 「仕事量は減らない状態で、残業削減は難しいと思い、正直、会社に反発を感じたこともありました。4月から事前申請以外は土日及び20時以降の残業禁止の取り組みが始まり、体力的には非常に楽で、プライベートな時間も確保できるようになりました。繁忙期への不安はあります。自身が変わったことは、時間制約を受ける中で仕事をする際に要領や優先順位を考え、効率的な働き方を意識するようになったことです。」

 

空調管工事部工事課 戸澤裕太さん(2016年入社)

働き方改革に対する正しい理解と取り組み

 中外電工株式会社を支援した社会保険労務士の山下剛氏は、次のように語っている。

 「今回の改革の中心的役割を担ってきたお2人が、現状への危機感を持ち働き方改革を実行しているが、自分達が正しい理解と取り組みをしているか不安を感じている真摯なご様子が印象的でした。まずは働き方改革の法律や自社の取り組みに関する疑問を一つ一つ解消していきました。その結果、正しい理解を基に自信を持って社員へメッセージを伝えることができ、トップの英断もあり、実効力のある組織的な取り組みへ繋がったと考えます。今後もPDCAを回し、一歩進んだ働き方改革へと取り組んでいただきたいと考えます。」

 

      担当者 竹中常務 森総務課長              取り組みを支援した社会保険労務士の山下剛氏

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

正しい認識で社員に明確なメッセージ

効果
総務部が働き方改革の目的や長時間労働の正確な制限値を社員に伝えることで社員も自分の働き方を振り返る機会が出来た。
取組2

社員の意識改革により 生産性向上へ

効果
社員一人一人が効率的な働き方・時間の使い方を自身で考え、実行していく意識改革が芽生え、生産性向上につながった。
取組3

社員に働きやすい 職場環境の実感

効果
社員の生の声を幹部や総務部が積極的に聞いている。電気と空調管の部署があるが繁忙時には部署の枠を超えて応援態勢を整えている。

COMPANY DATA企業データ

社員の幸せと成長を追求する。地域社会の発展に貢献する。

中外電工株式会社

代表者:代表取締役社長 東郷 光宏
所在地:鹿児島県鹿児島市
従業員数:57名(2024年6月現在)
設立:1965年6月
事業内容:
鹿児島県の電気設備工事・空調管工事を主体とする建設業で鹿児島市に本社を構える。一般家庭から企業、公共施設に電気・空調を供給するライフラインを支え、その照らす明かりは市民生活の基盤として、なくてはならないものと自負する。
企業として持続的に成長するために環境負荷の低減やSDGsにも積極的に取り組む。