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株式会社小金澤商店
卸売業,小売業
中部
10〜29人
File.187
従業員の働きがい向上とビジョンの共有ができる評価制度の導入 ークルマとくらしの未来をつなげる「株式会社小金澤商店」の場合ー
2024.09.25
株式会社小金澤商店の歴史は、まだ自動車も走っていない砂利道から始まった。自家用車を持つ人もほとんどいなかった昭和34年、現在の長野県佐久市で千曲給油所の営業を始めてから65年間変わらず地域へエネルギーを安定供給し続けている。
近年は、多様に変化するニーズに対して必要とされる会社であり続けるため、燃料油販売にとどまらず、車検、中古車販売、不動産仲介・管理など幅広く地域に必要な会社であり続けるため変化し続けている。
処遇の透明性の確保と納得性により信頼関係を構築
代表取締役である小金澤幸司氏は、働き方改革に取り組むきっかけについて、次のように語った。
「ガソリンスタンドにおいては、小売価格の約6割が税金で販売価格を自社で決めるには限界がある等の特性があり、事業環境の変化への対応には、パート・アルバイト等の非正規雇用労働者を戦力化する必要があります。
現実には、正社員と非正規雇用労働者の職務、責任、役割の違いが明確でなく評価に対する信頼性や納得感も低く、十分に戦力化できていなかったため、職務評価を踏まえた個人別評価を整備し、全従業員が「働きやすさ」と「やり甲斐」を感じ会社と目指すビジョンを共有することができる評価制度の確立を目指すこととしました」。
働き方改革に取り組んだ思いを語る 代表取締役 小金澤幸司氏
正社員と非正規雇用労働者の待遇を点検
当社の全従業員の6割を占めるパートタイム雇用労働者や有期雇用労働者の賃金については、従来正社員との比較や数値的根拠に基づいたものでなく、慣例的に水準を決定していた。このままでは「パートタイム・有期雇用労働法」の説明義務を果たすことができないことを知り、現状を改める必要があった。
このため、長野働き方改革推進支援センターの支援を受けて職務分析・職務評価を実施し、処遇の明確な根拠と納得性のある賃金制度の構築を目指すこととした。そのために、まずは正社員とパートタイム雇用労働者や有期雇用労働者の給与体系や職務ごとの責任等を洗い出し、不合理な待遇差が生じていないか検証を行った。その結果、休暇制度については労働契約の形態による差はもともと存在しなかったが、基本給や手当についても責任の差などによる合理的な違いがあるのみで不合理な待遇差はなかったことが確認できた。
今後も定期的に検証を行い、不合理な待遇差が生じないよう逐次見直しを実施していきたいと考えている。
職務評価に基づく新たな評価制度を構築
きちんとした評価制度のない会社では優秀な社員ほど辞めていくと言われており、公正で納得性のある評価制度は、優秀な人材の確保や定着に有効であると考えている。今回の支援を得て、当社では各職務に対する評価を新たに明確にし、それを踏まえて個人別の評価制度を確立した。個人別評価については、結果(目標達成度)、情意(取り組み姿勢)、能力(職務別遂行能力)の3つの方向から評価することとし、その中の能力評価においては、会社の各職務(販売、配送、管理・事務)と雇用形態ごとに求める能力を定義し評価する仕組みを構築した。
これにより、パートタイム雇用労働者や有期雇用労働者の処遇について、合理的な説明ができるようになった。その評価を従業員一人ひとりの待遇に結び付けることで人材の定着に役立てるとともに、採用においても他社との差別化につなげていきたいと考えている。
また、当社では、評価制度を単なる待遇決定のための道具としてではなく、従業員を育成する教育のツールとしてとらえている。目標に向かって考え努力し、目標を達成することで達成感を得るとともに、適切なフィードバックにより、更に高い目標へのチャレンジを促すことで従業員の成長だけでなく会社の成長にもつながるものと信じている。
求められる役割や知識、スキルが明確になりました
セルフ星のまちSS 店長の森尾誠さんは、今回の取り組みを振り返って次のように話してくれた。
「評価の基準が明確になり、日々の行動要件を具体的に示してもらえたおかげで、会社が従業員一人ひとりに求めている役割や知識、スキルがわかりやすくなりました。その結果、会社の目指すビジョンを私たち従業員が共有できるようになったと感じています。私自身も頑張って努力をすれば、結果につながり、自分の待遇がどう向上するのかが見えるようになったので、より前向きに会社の業績の向上に貢献したいという意欲がわくようになりました」。
評価制度について語るセルフ星のまちSS 店長の森尾誠氏(2017年入社)
個々の従業員の意欲と能力の向上に
働き方改革の支援を行った社会保険労務士の小泉弘人氏は、支援を振り返り次のように語る。
「今回の支援では、職務分析と職務評価を主軸として、個人別評価を組み合わせて総合的な評価制度を構築することを目指しました。当社の経営者の最も大きな関心事は、いかにして従業員の会社に対する信頼感を確保し、仕事に対する意欲を高め、会社の業績アップにつながる評価制度を作り上げることができるかという点でした。今回は、上限6回の支援回数をフルに活用して、共に会社独自の評価制度を作り上げることができました。導入された評価制度は個々の従業員の意欲と能力の向上に役立つことと確信しています」。
働き方改革の支援を行った社会保険労務士の小泉弘人氏
CASE STUDY働き方改革のポイント
処遇の透明性と納得性により信頼関係の向上
- 効果
- 職務分析と職務評価に基づいた公正な賃金制度が、従業員の公平感と納得性を高め、会社に対する信頼感の向上につながる。
職務評価に基づく新たな評価制度の構築
- 効果
- 評価制度の活用により、日々工夫しながら目標達成に向けて能動的に仕事をすることで従業員の能力向上につながることが期待できる。
COMPANY DATA企業データ
「はたらく」でくらしを豊かに
株式会社小金澤商店
代表者:代表取締役 小金澤幸司
所在地:長野県佐久市
従業員数:25名(2024年6月現在)
設立:1959年5月
事業内容:小売業:ガソリンスタンド店舗経営 並びに不動産事業を行う