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特定非営利活動法人 子育て支援いっすね

業種

医療・福祉

地域

北海道・東北

従業員数

10〜29人

File.198

働き方改革に沿った労務管理を整備し 多様な活躍ができる職場環境を目指す ー多機能型事業所として児童の健やかな発達を促す「特定非営利活動法人 子育て支援いっすね」の場合ー

同一労働同一賃金の実現

2026.03.27

特定非営利活動法人 子育て支援いっすね

 岩手県一関市の「特定非営利活動法人 子育て支援いっすね」は、岩手県南特別支援教育研究会(ISSNE)の会員が、保育や学校の現場で発達障がいのリスクがあるお子さんに対して、環境や対応の仕方により、その子らしく集団生活を楽しめることを経験し、成長の大切さを広く伝えたい思いから、研究会の頭文字をとり2012年NPO法人として設立。就学前の幼児から18歳までの「少しコツのいる子育てが必要なお子さん(発達障がい等)」を対象に、一人ひとり違う困り感と向き合い、個別指導、言語指導、集団指導、運動遊びなどを通じて発達を促す支援を行っている。

労務課題を解消し、安定的な賃金体系と経営基盤を確立する

 代表理事の小野寺里子氏は、働き方改革に取り組んだきっかけを次のように語った。

 「就業規則を自法人で作成し運営しており、職員の事情や希望に合わせた働き方に応える内容で規則を改定していたが、その場しのぎの対応となっていた。労務管理が複雑になるなかで、労働基準法との齟齬はないかなどの疑問が生じ、法令順守の精神で労働基準監督署に相談してきたが、働き方改革が進む中で労務管理の課題を感じていた。同時に、福祉・介護職員等処遇改善加算制度におけるキャリアパス制度等の整備が必要となっており、人件費の財源確保が厳しく内部留保の取り崩しが懸念され、賃金テーブルや資格手当の支給等の賃金を支払う仕組みである賃金体系の整備が課題だった。基本から見直すことが必要と理事会で判断し今回の取り組みに至った。」

働きやすい職場づくりに向けた就業規則の見直し整備

 厚労省モデル就業規則と現行規則を比較し、労働基準法等と齟齬が見られる条文について、当法人の労務管理の現状と改善が必要な個所を確認しながら見直しを行った。同一労働同一賃金制度を踏まえて、常勤職員、非常勤職員の定義と規則の適用範囲の明確化、改正された労働条件明示ルールの確認、年次有給休暇時間単位付与の労使協定の締結等の適正化、振替休日と代休の要件・手続き等の確認を行い、就業規則に記載していない項目について見直し整備を行った。同一労働同一賃金制度では、常勤職員と非常勤職員の間の処遇について不合理な待遇差がないか、待遇差がある部分についてはその根拠を説明できるか等を確認した。

仕事と育児・介護との両立支援制度の確認と整備

 令和7年7月に、初めて男性職員から育児休業の相談があり、その対応が課題となった。

 初めての男性職員の育休取得に向けて、制度説明・利用の意向確認の手続きに従って育休取得を進めることができた。今後は、これらを適切に実施するため40歳となる職員及び3歳未満の子を養育する職員の把握とともに、未整備の仕事と育児・介護の両立支援制度等の周知と取得意向確認等に使用する社内様式の整備とその活用に向けて取り組んでいきたい。

福祉介護職員等処遇改善加算制度のキャリアパスの整備

 キャリアパスの整備では、厚労省公表の「キャリアパス・賃金規程例(小規模事業所用)」を活用して、在職期間による職務の習熟や保有資格が業務で発揮されることで基本給等に加算される職場の制度として「キャリアパス基準」として整理し、職務の習熟や保有資格、職務遂行能力等を評価することで、上位職位への昇格・昇給について定めた。キャリアパスにおける評価については、毎年、実施している職員との個人面談を充実することとした。

家庭と仕事を両立できるような制度利用が進んでいます

 笹谷事業所の保育士・鈴木 圭江さん、そして宮下事業所の保育士・今野 直人さんは、今回の取り組みを振り返って次のように話してくれた。

 「柔軟な働き方を実現するための措置における「短時間勤務制度」を利用し、家庭と仕事の両立を目指し働いています。法人内では「制度を利用する人」を支える仕組みが整えられていますが、誰もがより安心して働くことができるよう、「制度を利用する人を支える人」をフォローする仕組みも整えて欲しいと思います。」

笹谷事業所 保育士 鈴木圭江氏

 「今回は子どもが生まれてから3か月と、妻の育休が明ける前に合わせて3か月の合計6か月の育児休業を申請しました。職場の方々には、手続きから実際の取得期間までご面倒をおかけしますが、子どもと妻とのかけがえのない時間を過ごし、共に育児をしていく中で得た経験を職務にも活かしていきたいと思っています。」

宮下事業所 保育士 今野直人氏

笹谷事業所外観

特定非営利活動法人子育て支援いっすねの取り組みを支援した社会保険労務士の佐藤和雄氏は次のように語っている。

 「NPO法人いっすね様では、自法人で就業規則を作成し、法令順守の精神で労務管理を行っており、労務管理の問題点や新たな課題について職員との話し合いを重ね、雇用形態に関わらない公正な待遇を確保する取り組みを行っています。相談の一つ一つが深く掘り下げて話し合いを行った内容であり、支援時には丁寧な説明を心掛けました。短時間正社員制度や時間単位代休の導入など、労務管理の複雑化にも対応しながら、職員が希望する多様な働き方を採用し、働きやすい職場づくりに真摯に取り組む姿勢が感じられました。」

取り組みを支援した社会保険労務士の佐藤和雄氏

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

職員との話し合いを大切にした働き方の改善

効果
就業規則の労働基準法との齟齬や必要な定めについて知ることができた。職員の意見も踏まえつつ規則を整えることができた。
取組2

育児・介護が必要な職員に 優しい職場づくり

効果
男性職員の育休取得に向けた具体的な取り組み対応ができた。仕事と育児・介護の両立支援制度に向けた取り組みの対応ができた。
取組3

キャリアパスの整備で 働きがいがある職場に

効果
職員評価基準の明確化と職員自身の役割の再認識につながった。人件費確保に向けた取り組みの方向性を知ることができた。

COMPANY DATA企業データ

「子どもも大人も誰もが『いっすね』に来たら笑顔で帰ることができる」ように、それぞれの特性や悩みに寄り添い、常に相手を思いやる心で接していきます。

特定非営利活動法人 子育て支援いっすね

代表者:代表理事 小野寺 里子
所在地:岩手県一関市
従業員数:14名(2025年11月現在)
設立:2012年1月
事業内容:障がい児通所支援の多機能型事業所として、発達障がい児やそのハイリスク児に対して教育的な個別指導や小集団指導および保護者からの相談も受けながら、ともに児童の健やかな発達を促す事業(指定通所支援の児童発達支援、放課後等デイサービスおよび保育所等訪問支援)を行っている。