ホーム > 田村ボーリング株式会社
田村ボーリング株式会社
建設業
中国・四国
30〜49人
File.203
業務の可視化を基に手順書を作成し、 段階的に職場改善を進める ー「土・岩・水」の世界で社会の安全・安心・快適を支える「田村ボーリング株式会社」の場合ー
2026.03.27
田村ボーリング株式会社は、ボーリング技術を核に、地質・地盤調査、地下水源・温泉開発、土壌汚染調査、海上磁気調査、特殊土木工事(グラウンドアンカーや杭工事など)を一貫して提供している企業であり、地下の状況を可視化・情報化し、道路や建築物などの社会基盤の安全・構築に貢献することを事業の目的としている。働き方改革の取り組みにおいては、属人的業務の解消や人材育成体制などに関する新たな課題に着手して、誰もが安心して働き続けられる職場づくりを進めてきた。
※この事例は、過去に働き方改革推進支援センターの支援を受けて働き方改革に取り組んだ企業が、今回更なる働き方改革、働きやすい職場づくりに挑戦したその過程と成果を取りまとめたものである。
これまでの取り組みとその成果
【取り組み内容】
就業規則が10年以上前のものから改定されていない状況であったため、現行の労働関係法令に沿った内容へ見直しを行った。
改正育児・介護休業法やハラスメント防止に関する規定を反映し、労働時間、休日、休暇に関する条文の整理を行った。あわせて、時間外労働の上限規制に対応するため、労働時間管理の方法を再検討し、管理ルールを明確化するために労働時間管理システムを導入し、始業時間前の準備時間を含めた記録方法を統一した。
制度の改定にあたっては、管理職への説明を行い、トップダウンで社内周知を行った。
【成果】
就業規則の改定と労働時間の管理方法の見直しによって、労務管理のルールが明確化された。
法改正に則った制度内容に整備されたことで、管理職・一般職双方が就業上のルールを理解できた。周知については、トップから管理職へ、管理職から一般職へと行われたことで労働時間や休日・休暇に関する認識の統一が図られた。
制度運用の土台が整備されたことで、今後の継続的な育児・介護休業取得にむけた基盤が構築された。また、システム導入により、始業時間前の準備時間を含めた労働時間管理の把握が可能となり、従業員の時間外労働に対しての意識も変化した。
新たな課題
就業規則の整備、労働時間管理の適正化が進む中で、属人的業務や人材育成体制に関する新たな課題が明らかになった。
一部の社員に業務が集中している状況を改善するため、業務内容の棚卸しを行い、作業手順や判断基準を整理し、誰が担当しても一定の水準で業務を遂行できる体制づくりが求められる。
また、後継育成においては、メンターごとに指導方法や伝え方が異なり、若手社員が混乱する場面が見られるため、育成方針や指導内容、評価基準を共通化する必要があると思われる。
さらに、若手社員のスキル習得状況を段階的に可視化し、成長過程を関係者間で共有出来る仕組みの構築が課題である。
課題感を解決し、目標を達成するためのプロセス

具体的なアクションスッテップ、実施方法、プロセス等
▶ステップ1【PLan(計画)】
初回支援において、業務内容、担当者、作業量、時間外労働、年次有給休暇取得の状況についてヒアリングを行い、現状把握と整理を実施した。その結果、業務が特定の従業員に集中し、属人的な進め方になっていること、また情報共有不足により、引継ぎや役割分担が難しい状況であることが課題として明確になった。
これを踏まえ、業務の棚卸しによる可視化、手順書・マニュアル作成による業務の標準化、メンター制度における役割の整理を計画の柱とした。時間外労働の削減については中長期的な目標として位置付けた
▶ステップ2【DO(実行)】
業務一覧表を用いて、通常業務と突発的業務を区分しながら業務の棚卸しを実施した。各業務について作業手順や注意点を洗い出し、簡易的な手順書作成に着手した。
また、経験豊富な従業員が若手を支援する体制を策定し、メンター的役割や関わり方について意見交換を行った。これにより、業務内容の共有理解が進み、引継ぎや仕事の分担を検討する基盤を整えた。
▶ステップ3【Check(評価)】
業務を可視化したことによって、特定の従業員へ集中している業務の把握ができた。業務分担の見直しに向けた共通認識が形成された。
手順書の作成は一部業務で試行段階にあり、業務理解のばらつきが徐々に軽減されている。時間外労働についても、実態把握が進み、削減に向けて具体的な検討が行われた。定量的な目標として、時間外労働を月10%削減する目標を設定した。
▶ステップ4【Action(対策・改善)】
今後は、手順書・マニュアルを順次完成させ、定期的な見直しを行うとともに、メンターの役割や支援内容を明確にし、人材育成の仕組みとして定着させる。また、時間外労働や有給休暇取得状況を継続的に確認し、さらなる改善と働きやすい職場環境の維持・改善につなげていく。
業務の棚卸しと属人化の解消
業務内容や進め方が担当者個人の経験や判断に依存しており、業務の属人化が進んでいた。そのため、特定の従業員に業務負担が集中し、時間外労働の常態化や、急な欠勤時や引継ぎの際に業務が滞る状況が起こることがあった。また、業務の全体像が整理されていないことから、業務分担や人材育成についても場当たり的な対応にとどまっていた。
まず経営者および担当者へのヒアリングを実施し、日常業務・突発業務の内容・担当者・作業頻度・作業時間を洗い出した。業務一覧表を用いて棚卸しを行い、整理し、業務全体を可視化した。その結果、これまで曖昧であった業務範囲や重複業務、一部社員への業務集中が明確になった。これにより、業務分担の見直しに向けた共通認識が形成された。業務を「個人のもの」から「組織のもの」として捉え直す契機となり、今後の属人化解消に向けた基盤が整えられた。
手順書整備と相談体制づくり
業務の棚卸しの結果を踏まえ、属人化解消に向けた具体的な取り組みとして、業務手順書・マニュアルの作成に段階的に着手した。全業務を一度に整備するのではなく、業務頻度が高く、影響の大きい作業から優先的に、まずは簡易的な手順書を作成し、実際の業務で使用しながら改善する方法を採用した。
また、業務上の不安や疑問をひとりで抱え込まない環境づくりを目的として、経験豊富な従業員が相談役となる体制について検討を行った。指導方法のばらつきが若手の混乱になっていたこと、かつ、メンターの負担増も問題となっていたことをふまえ、経験豊富な社員を中心に相談役となるメンター的役割について内容整理を行い、若手社員が日常的に業務相談を出来るサブメンターを取り入れた体制づくりを進めた。
指導や助言を複数の視点で受けられる環境を整えることで、育成の属人化を防ぎ、若手もベテランもどちらも安心して学べる基盤の構築をめざした。
数値で確認する働き方の改善
業務の可視化や業務分担の見直し、情報共有の促進によって、働き方にも一定の改善が見られた。
時間外労働は、取組前の令和6年10月から令和7年7月までの月平均22時間から、取組後の令和7年8月から令和7年9月には平均20時間へと減少している。年次有給休暇取得率についても、令和5年10月から令和6年9月の取得率59%から、令和6年10月から令和7年9月の取得率65%へと向上した。
これらの数値は、業務分担の見直しや相談体制の整備、職場内コミュニケーションの改善が、業務負担の軽減や休暇を取得しやすい環境づくりにつながっていることを示している。現在も、作成した手順書の充実や相談体制を定着させ継続して取り組んでおり、さらなる業務平準化と時間外労働の削減、人材の定着を目指した改善を進めている。

今後の展望
代表取締役の田村光高氏は、今回の取り組みを振り返り、今後の展望について次のように語っている。
「これまで見えにくかった業務の流れや課題が整理されました。従業員一人ひとりが自分の役割を意識して働けるようになったと感じています。
業務の可視化やメンター制度によって相談しやすい環境づくりなど、日々の不安や負担の軽減につながりました。
今後は手順書の作成やメンター的な役割の定着を進めることで、誰もが安心して働き続けられる職場づくりを進めていきたいと考えています。あわせて、時間外労働の削減や休暇取得の促進にも継続して取り組み、長く安心して働ける会社づくりを目指していきます。」

代表取締役の田村光高氏
業務整理や体制の見直しで現場が効率化働きやすさを実感しています!
2022年入社の工務部(現場技術職)の石指耕作さんは、今回の取り組みを振り返って次のように話してくれた。
「業務の整理や体制の見直しが進んで、現場が2人体制から3人体制になりました。その結果、オペレーターはオペレーター、助手は助手と、それぞれ自分の仕事に集中できるようになり、全体的にかなり効率が良くなったと感じています。段取りのことで悩むことも減り、気持ち的にも余裕が出てきました。分からないことも一から丁寧に教えてもらえるので、安心して仕事に取り組めています。
職場の雰囲気も良くなり、働きやすい会社になってきていると実感しています。これから入社する若い方の見本になれるよう、自分ももっと頑張りたいです。」

田村ボーリング株式会社の取り組みを支援した社会保険労務士の十河香織氏は次のように語っている。
「今回の支援では、制度や仕組みを一方的に導入するのではなく、現場の実態を確認しながら、出来ることから段階的に進める点を重視しました。業務の棚卸しでは、日常業務を整理し、言語化することに苦労されていましたが、対話を重ねることで課題が整理されました。業務の可視化や相談しやすい環境づくりは、規模の小さい企業でも実戦可能な取り組みです。
今後は手順書やメンター的役割を定着させることで、人材育成・働き方改善の確立がさらに進むと考えています。」

取り組みを支援した社会保険労務士の十河香織氏
CASE STUDY働き方改革のポイント
業務の可視化と属人化の解消
- 効果
- 業務内容と役割が明確となり、特定の従業員への業務集中を把握し、分担の見直しの基盤を整えた。
手順書整備と相談体制の構築
- 効果
- 業務手順書の作成と相談体制の確立により、業務理解のばらつきが減少し、安心して働くことが出来る環境が整った。
数値で分かる働き方改善
- 効果
- 時間外労働は月平均22時間から20時間に減少、有給休暇取得率も59%から65%へ改善した。
COMPANY DATA企業データ
地盤のプロフェッショナルとして 地域社会の安全・安心・発展へ貢献します
田村ボーリング株式会社
代表者:代表取締役 田村 光高
所在地:香川県高松市
従業員数:43名※2025年12月現在
設立:1955年6月
事業概要:当社は、ボーリング技術を核に、地質・地盤調査、地下水源・温泉開発、土壌汚染調査、海上磁気調査、特殊土木工事(グラウンドアンカーや杭工事など)を一貫して提供している企業である。地下の状況を可視化・情報化し、道路や建築物などの社会基盤の安全・構築に貢献することが事業の目的である。
