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株式会社ジェイテック

業種

学術研究,専門・技術サービス業

地域

北海道・東北

従業員数

301人〜

File.122

技術と人を作り、仕事も人生も楽しめる職場を目指して ー原子燃料サイクルの総合メンテナンス企業「ジェイテック」の場合ー

多様な休暇制度

2022.01.24

株式会社ジェイテック

 青森県六ヶ所村に位置する「株式会社ジェイテック」は、日本原燃株式会社100%出資により設立された企業だ。六ヶ所再処理工場の運営と保守業務を担い、安全確保、環境保全に取り組み地域社会に貢献している。

開かれた経営を目指して

 日本原燃への出向・移籍を経て15年ほど同社でキャリアを重ねてきた牧 隆氏は、2021年4月にジェイテック社長に就任した。これまで牧社長が間近に見てきた 同社の働き方改革の経緯と、牧社長が進めた取り組みはどのようなものだったのか。

毎日社長ブログを投稿するという牧 隆社長

 「なるべく気を遣って意図的に、風通しの良い開かれた経営を目指すようにしています。社長室のドアは開け放ち、外から私が何をしているか見えるようにしたり、時間がある時はできる限り社員のところへ出向いて声がけをして話す機会を作ったりしています」と牧社長。

 もともと週に2日1時間ずつレビュー会議を開き、一般社員と技術や業務をはじめ経営についてもやりとりができる機会を作っている。入社2年目の社員には1人30分ずつ就業状況を発表する場を設けている。各自の日報はシステム内に入力してもらい日頃の勤務状況を確認している他、インフラの中には投書箱・目安箱を設け自由に記入ができるようになっている。

目指すのは風通しのよく働きやすい職場

 「青森県の方々、いや日本人全般かもしれませんが、わりと保守的で自分をあまり出さない傾向があるようです。そのあたりのカラーを変え、自分を語る心のハードルを下げてあげたい」と語る牧氏が社長に就任するや否や始めたのが社内向けの社長ブログだ。

 営業日は毎日、自身が休みを取った日も自宅から投稿している。「この会社の社員に私が期待すること」がメインテーマだが、他にも内容は多岐にわたる。世間一般のニュースや、親会社や自社がやっていることに自分の意見をつけて投稿したり、購読率を上げるためにジョークめいた話や、出身地の名古屋や名古屋人についてのエピソードなども書いたりしてきた。最初は反応がなかったが、徐々にコメントなどが増え、社員自身の経験を書いてきたりすることもある。今では風通しのよさを生み出し、開かれた経営を目指す武器のひとつになっている、と感じている。

時間外労働を徹底的に把握

 業務上、親会社の工場でトラブルが発生するなど、計画外の仕事が入りスケジュールが思うように進まないことが生じると、時間外労働が増える傾向があった。システムで労働時間を集計しているほか、上司がリアルタイムで確認し、時間外労働が多い社員には注意するなどデジタルとアナログの両面できちんと把握することを心がけている。

 現場作業の社員にはモバイル端末を配給し、その場で日報をデータ入力することを奨励。事務所に戻って改めて書き起こす必要がなくなり効率がアップした。

 コロナ禍もありテレワークを積極的に導入。会議もなるべく人が集まらないようWeb会議の形を取っている。これまでは紙の資料を作成し、束ねて配布していたが、ペーパーレスに移行したことで、その時間と労力も大幅に軽減した。こうした取り組みの結果、時間外労働は1人当たり平均月13時間(従前より約2割減)となっている。

仕事と家庭の両立ができる職場風土

 男女の差なく技術者を採用しているジェイテックでは、仕事と家庭生活の調和を図るための職場風土作りに取り組んできた。子どもが満1歳になるまでの育児休業(最長2歳まで)、子どもや家族の看護・介護休暇など法律上の義務となっている制度を整備することはもちろん、配偶者の出産時に2日取れる出産休暇の導入、育児のための短時間勤務制度を子どもが小学校を卒業するまでを対象とするなどの制度の拡充にも取り組んできた。

女性技術者を積極的に採用

 出産後の休業からの復職をスムーズにするため、産前には人事担当者との面談、育児休業中は定期的な連絡をとり、復職1ヵ月前には上司・人事担当者と面談し、復職後の働き方について事前に相談の場を設けている。さらに復職1ヵ月後にも再度面談をし、仕事と育児の両立を図るためのきめの細かい体制を整えている。

 この結果、女性の育児休業取得率、復職率は100%。2020年度の男性社員の育児休業取得者は17名、育児のための短時間勤務の利用者は6名となっている。

男女差のない職場を目指して

 2021年4月からは女性の活躍促進を目指す5年間計画を開始した。男性社員の主任以上の役職者割合が40.6%であるのに対して、女性役職者は12.3%と低いことを問題視したためだ。2025年までに6名以上の女性社員を主任登用することを目標としている。半年ごとに所属長と面談し3年後にどうしていたいか、そのための取り組みなどを話し合う「3カ年キャリアプラン」を実施。外部講師による研修での意識改革。長期キャリアの構築法やリーダーに必要な要素などの研修やセミナーを順次行っていく予定だ。

男女差のない職場を目指し女性の活躍を促進

年次有給休暇を取りやすい環境づくり

 年次有給休暇を取りやすい環境作りにも努めてきた。まずは月1回定期的な会議でグループごとの取得状況を報告し現状の把握をすることから始めた。「有給休暇取得奨励日」を設定し社内イントラネットで全社に通知した。2019年からは個人別の年次有給休暇取得計画を立てあらかじめ周知することで休みやすい環境を作った。2018年には平均取得日数13.1日だったものが20年には15.2日になっている。

 選択型福利厚生制度「カフェテリアプラン制度」を制定。プライベートを充実させてリフレッシュを図り業務に活かして欲しいとの願いから生まれたユニークな制度だ。育児や入学に関わる費用、自己啓発や旅行、スポーツに関わる出費など年間5万円を上限に支給するというもの。事前申請は不要で、領収書を提出するだけで理由や用途を聞かれることなく精算されるというものだ。レシートの写真を取りアプリで送るだけという方法もあり、ごく手軽に使える。

男性社員が積極的に育児

 入社9年目、プラント保修部主任の野田静枝さんは夫も同じ会社で働いている。男女を問わず子どもの看護休暇が利用できるため、急な病気や検診などの送り迎えを夫にお願いすることも多いが、上司や同僚が快く休暇を取らせてくれる。全般的に男性社員が積極的に育児をしており、周囲に否定的な雰囲気は感じられないという。

数少ない女性役職者の野田静枝さん

 「休暇を申請してダメと言われたことがないほど、休暇が取りやすい環境です。有給休暇取得奨励日があるので夫婦で日にちを合わせて長期の旅行へ行ったりしています」と野田さん。カフェテリアプランで旅費を出すこともあるという。

 今はまだ数少ない女性役職者である野田さんは、育児や家事で制限されずに働くことを望んでおり、育児休業も制度の上限まで取らなかったという。新規技術の調査・研究、技術・訓練センターの教育メニューの企画・準備などを担当し、ほかにもフランス企業との技術交流で毎週テレビ会議に参加している。

 「仕事はとてもやりがいがあります。大きいプロジェクトを自分が思うように進められ、失敗しても怒られることはありません。責任は取るからやりなさいと背中を押してもらえます」。仕事と家庭を両立させるための整った環境、夫婦の協力をバックグラウンドにキャリアを追求している。

働きやすく休みやすい職場風土

 入社10年余り、総括業務部の総務の原田桂吾さんはジェイテックが3社目という転職組。総務・人事グループリーダーとして働き方改革に関わってきた一人だ。入社当時から継続して業務改善が続けられてきたことで、明らかに働きやすい職場風土に変わってきたと感じている。

入社以来働き方改革に関わってきた原田桂吾さん

 グループ会社全体で年次有給休暇13日以上取得を目指すなどして休みやすい風潮を作ってきた。そのためには、少ない人員でも仕事が回るようカイゼンを続け、いかに効率を上げ、無駄な仕事や慣例を省き短時間で集中するかを重視した。例えば採用時の適性検査を紙ベースからPCで行えるように変えたことなどだ。改善点をまとめた提案書を会社に出し、成果が出るとどのくらい時間の軽減になったかの計算がなされ、褒賞金が出るという制度もある。提案はほぼ認められ実践に移されるという。

 年次有給休暇が取りやすい環境はできても、子どもの病気や事故など万が一のことが心配で年次有給休暇を取得せず、そのまま繰り越してしまうのはよくあることだが、この会社では「ゆとりを持って最大40日まで休んでいいという決まりがあるため安心できます。逆に目一杯休むので溜まりづらくなっています」と笑う原田さん。夫婦での長距離ドライブ旅が趣味で、数年前には青森から鹿児島まで車で往復する1週間ほどの旅行を楽しんだ。コロナが収束したら、次は四国へ行きたいと考えているそうだ。

 開かれた経営を目指し、仕事とプライベートを両立させるための様々な施策に取り組んできたジェイテック。働きやすい環境が整っていることは社員の定着率の高さからもうかがえる。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

業務の効率化を図り時間外労働を削減

効果
時間外労働削減のためシステムで個別の労働時間を集計、上司がリアルタイムで確認し状況の把握に努める。モバイル端末、テレワーク、ペーパーレスの導入も効果があり、時間外労働は1人当たり平均月13時間まで削減(従前より約2割減)。
取組2

仕事と子育てを両立できる環境整備

効果
出産休暇、育児休業、短時間勤務などの法定の制度を整備することはもちろん、産前・復職前・復職後に上司や人事担当者との相談の機会を設け両立を図るためのきめ細かい体制を整え、女性社員の復職率は100%となっている。また、2020年度の男性社員の育児休業取得者も17名、育児のための短時間勤務の利用者は6名となっている。
取組3

年次有給休暇を取りやすい社風づくり

効果
「有給休暇取得奨励日」の設定、個人別の年次有給休暇取得計画の周知、「カフェテリアプラン制度」の制定などにより、年次有給休暇を取りやすい環境作りにも努め、平均取得日数は15.2日に。

COMPANY DATA企業データ

社員一人ひとりが技術を蓄積し能力を発揮する

株式会社ジェイテック

代表取締役社長:牧 隆
本社:青森県上北郡六ヶ所村
従業員数:645名
設立(創業):2003年6月
資本金:4000万円
事業内容:原子燃料サイクル施設の運転・保守・管理、建設業・建設に関わる機器等の販売・調査研究、動産不動産の賃貸、人材育成事業、労働者派遣事業等

経営者略歴

牧 隆(まき・たかし) 1959年生まれ、愛知県出身。1986年名古屋大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。同年三菱金属入社。2006年日本原燃株式会社出向、2011年同社へ移籍。2021年同社燃料製造建設所長を退職し、4月株式会社ジェイテック代表取締役社長に就任。好きな言葉は「いつも感謝の心を」。