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株式会社青森ダイハツモータース

業種

卸売業,小売業

地域

北海道・東北

従業員数

100〜300人

File.140

新制度の導入と活用できる仕組みづくりの両輪で、仕事と育児の両立を推進 新車・中古車を販売する株式会社青森ダイハツモータースの場合

幅広い人材活用

2022.02.01

株式会社青森ダイハツモータース

 青森ダイハツモータースは1970年設立。ダイハツ工業株式会社の正規ディーラーとして、県内10拠点で新車・中古車販売を中心とした事業を展開している。女性ユーザーの多い軽自動車が主力ということもあり、近年は女性従業員の採用にも力を入れている。それを契機に、男女を問わず、子育てをしながら働きやすい制度を整えると共に、全従業員が効率よく働ける環境づくりに着手した。その成果は数字にも表れており、プラチナくるみん認定の取得をはじめ、第3者機関からも評価されている。

仕事と育児の両立ができる会社を目指して

 2021年にプラチナくるみん認定を取得した青森ダイハツモータース。この認定は、高い水準で子育てサポートに取り組む企業が受けられるものだが、元々は子育てと仕事の両立に理解がある会社とは言えなかったという。「以前から出産後の離職率は低かったのですが、育児休業制度が活用されておらず、産前産後休業が明けると短期間で復職するのが当たり前になっていました」管理部総務グループに所属し、働き方改革のプロジェクトリーダーを務める出町修平さんは、そう当時を振り返った。

 青森ダイハツモータースは、自動車メーカーであるダイハツ工業株式会社が100%出資する正規ディーラーだ。女性ユーザーの多い軽自動車を主に扱うことから、お客様には女性が多いという。男性主体であった自動車販売業界にありながら、近年は女性従業員の採用にも取り組み、自動車を運転する女性のお客様と同じ目線に立った接客や営業に力を入れてきた。さらに、従業員の平均年齢は40.8歳で、いわゆる子育て世代と重なる。そこで、5~6年前から、仕事と育児の両立を目指した取り組みをスタートさせることとなった。

「採用活動をしていると、仕事と育児の両立に関心を持っている方が多いと感じます」と話す、出町修平さん

男女を問わず、育児をサポートする制度を新設

 従来の育児休業制度に加えて導入されたのが、短期間育児休業制度だ。これは、子どもが1歳になるまでの間に限り、男女従業員ともに年2日有給休暇を取得できるというもの。配偶者の退院の日に合わせたり、出産に伴う申請書類の提出日にこの休暇をあてるなど、これまで33名の男性従業員も制度を利用しており、取得率は100%だ。

 子どもを保育園や幼稚園に預けていると、主に週末に開催される行事への参加が必要になるだろう。土日も営業している株式会社青森ダイハツモータースでは従業員が子どもの行事に参加できるよう、育児目的休暇制度を導入。子ども1人の場合年間3日まで、2人なら5日まで有給休暇を取得できるようになった。小学生以上の子どもを持つ従業員は、こちらも新設された半日有給休暇制度を利用し0.5日単位で効率的に有給休暇を取得。積極的に行事に参加する姿がみられるようになった。

制度を活用するために必要な仕組みづくり

 青森ダイハツモータースの育児休業からの復職率は100%だ。現在は5名の従業員が育児短時間勤務制度を活用している。これは小学校就学前の子どもを持つ従業員が、正社員でありながら、通常の定時が9時半~18時のところを最短16時まで短縮して勤務できるという制度だ。社内では、育児休業からの復職前に必ず上長との面談を実施。その際、育児短時間勤務制度をはじめとする子育てサポートの制度を上長から伝え、しっかりと活用してもらう仕組みになっている。

 管理部 経理グループに所属する石岡恵美さんは、現在、育児短時間勤務制度を利用し9時半~17時まで勤務。退勤後一度帰宅し夕食の支度をしたのち保育園にお迎えに行くというスタイルで仕事と育児を両立している。復職から1年半が経ち大分リズムを掴めてきたというが、やはり大変さも感じている。「勤務時間が1時間減っただけなのに、できる業務の量が激減しました。上司と相談しながら少しずつ、休業前のような責任ある仕事も担当できるようになってきましたが、子どもの体調不良などで休まざるを得ないことも多いです」という石岡さん。「毎朝、仕事の優先度を考えながら出社しています。仕事をする上では当たり前のことかもしれませんが、勤務時間が少ない分、より意識するようになりました」と話してくれた。その他、業務の手順を見直し、適宜無駄を省くため「業務の棚卸」を行うなど、メンバーや上司と相談しながら、限りある勤務時間内で業務の質を上げる努力を続けてきた。「同じ経理グループで働くメンバーは全員がすべての業務を経験し把握しているので、いざという時にカバーしてもらえたり、日頃から相談もしやすいです。もし今後、他の従業員が同じ制度を利用することがあれば、しっかりとフォローしたいと思います」石岡さんの言葉からは、社内に仕事と育児の両立をサポートする風土がしっかりと根付いていることが感じられた。

「イレギュラーな案件が発生したときはグループ内ですぐに共有し上司に相談しています。意見を出し合えるので働きやすいです」と話す石岡恵美さん

取り組みの成果は数字にも表れている

 青森ダイハツモータースが進めるのは、子育て中に限らず、全従業員が仕事と家庭や自分の生活を両立できる職場づくりだ。2015年度、2.9日だった年間の年次有給休暇取得日数は、2020年度には7.8日まで増加している。これは、前述した子育てに関連する休暇制度がしっかりと利用されはじめ社内の雰囲気が醸成されてきたことや、利用しやすい半日年次有給休暇制度の導入などによる効果だろう。また、残業時間を削減するため、店舗は基本的に20時消灯。受発注や入金など業務に必要なシステムも時間が来ると止まるように設定した。その他、各店舗主導で月5回のノー残業デーも実施。その結果、2014年度18.7時間だった月平均残業時間が2020年度には11.3時間まで削減された。

 年次有給休暇取得の推進と残業時間の削減を進めるにあたって、短い勤務時間でこれまで通りの業績を上げるには、業務の効率化が必須となる。そこで、工場に冬の寒さを緩和する遠赤外線ヒーターを導入したほか、全従業員が利用できる個人用ロッカーを用意するなど、働きやすい職場づくりを推進。例えば全拠点をフリーアドレス化したことで事務スペースの整理を進め、より集中できる環境を整えた。これらはすべて、業務の効率アップにつながっている。

従業員が誇りを持って働ける会社に

 「わが社のミッションは自動車を販売し売上目標を達成すること。圧倒的に多い女性ユーザーにより良いサービスを提供するためにも、女性従業員の活躍は欠かせません」と話すのは、2021年6月に着任した高橋勉代表取締役だ。すでに多くの女性従業員が活躍しているが、男女が平等に活躍する会社と言うためには、さらなるステップアップが必要だと考えている。社内の制度を活用し家庭や自分自身の生活を充実させた上で、仕事においても各自の目標をしっかりと達成できてこそ、本当の両立と言えるだろう。「今後、店長などの管理職を務める女性従業員が出てくれることを期待しています」という高橋代表取締役。目指すのは、従業員が誇りを持っていきいきと働ける会社だ。

「同業他社と比べても、仕事と家庭の両立を実現させるための制度は整っていると思う」と話す高橋勉代表取締役

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

育児短時間勤務制度や育児目的休暇制度、短期間育児休業制度を新設

効果
短期間育児休業制度等の子育てしながら働く従業員をサポートする制度を設けることで、育児休業からの復職率100%を維持。男性従業員の短期間育児休業制度の取得率も100%となっており、家庭との両立を支持する文化の形成につながっている。
取組2

消灯時間やシステムの停止時間を設定するなど残業できない仕組みに

効果
各店舗主導で、業務とのバランスを見ながら、消灯時間やシステムの停止時間を設定することや、月5回のノー残業デーを実施するなど、残業できない仕組みをつくった。その結果、2014年度18.7時間だった月平均残業時間が2020年度には11.3時間まで削減された。
取組3

遠赤外線ヒーターやフリーアドレスの導入など働きやすい環境を整備

効果
工場に遠赤外線ヒーターを設置したり、全拠点にフリーアドレスを導入するなど、男女を問わず働きやすく業務に集中できる職場環境を整えたことが業務の効率化につながり、短い勤務時間でも売り上げ確保、業務遂行が可能になった。

COMPANY DATA企業データ

社業を通じて地域に貢献し、組織(会社・社員)の繁栄と幸福を求める

株式会社青森ダイハツモータース

代表取締役社長:高橋 勉
本社:青森県青森市
従業員数:279名(2021年11月現在)
設立:1970年3月
資本金:3,000万円
事業内容:自動車小売業(新車・中古車販売、自動車整備・点検・修理、損害保険代理店)

経営者略歴

高橋 勉(たかはし・つとむ)
前職は埼玉ダイハツ販売株式会社 常務取締役 営業本部長。2021年6月、株式会社青森ダイハツモータースに入社し代表取締役社長就任。