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株式会社長野銀行
金融業,保険業
中部
301人〜
File.141
女性行員をキラリと輝かせる「女性活躍推進チーム」の活動 ―「イクボス・温かボス宣言」を表明した「長野銀行」の場合―
2022.02.01
「地域住民のために役立つ銀行」を企業精神とする長野銀行は、1950年に創業した。長野県松本市に本店を構え、現在までに、県内全域に52支店、都内に1支店を展開する国内有数の第二地方銀行である。時代とともに多様化する、お客様のニーズや経営課題に寄り添い、懇切丁寧なコンサルティングを行う「伴走型支援」に力を入れている。人口減少や少子高齢化など、地方銀行の経営環境が厳しさを増す中、長野銀行は、女性がより一層活躍できる環境づくりを着実に進めている。
女性の立場から、女性に風通しのいい環境を
長野銀行の「女性活躍推進チーム」は、女性行員の能力を最大限発揮できる仕事と環境の整備を目的として、2015年8月に設置された。役員・各部長・社外取締役による「女性活躍推進委員会」と、本店・支店の女性行員有志による「女性活躍ワーキンググループ」によって組織されており、実際の活動は、ワーキンググループが担っている。20代から50代までの女性行員およそ30名が所属し、各人から募った検討事項に対する意見やアイデアを基に、3カ月に1回程度、ミーティングを開催している。以前は、何か困りごとがあっても、自分たちの意見を述べる場所が人事部との面談などの限られた機会しかなかったという。女性行員の皆さんは、とても歯痒い思いをしていたはずだ。
長く働きながら、自分らしい子育てを
「女性活躍推進チーム」がまず取り組んだのは、ワーク・ライフ・バランスの改善。特に、仕事と育児の両立について注力した。2016年に、短時間勤務制度の適用対象を小学生未満の子から小学校3年生の子まで拡充。原則午前9時〜午後4時までの短時間勤務を、一人ひとりの事情にあわせて、勤務時間を自由に選択できるようにした。当然、その場合でも一般の行員と同じ待遇が保証される。保育園の送り迎えをする行員もいれば、子どもを病院に連れていかなければならない行員もいる。それぞれの育児の事情に寄り添った、心温まる施策といえるだろう。また、これまでのリフレッシュ休暇、季節休暇に合わせて、「ミニリフレッシュ休暇」を新たに制定し、最大10日間の有給休暇を取得するよう促している。あわせて、男性行員の育児休業取得も積極的に推進し、現在までに20名が利用している。さらに、キャリアと育児の両立を支援するハンドブックの配布や、産休・育休者向けの研修会・座談会の開催など、復職後も子育て中の行員が自信を持って長く働けるよう体制を整えている。「同業他社より満足度が高い」というアンケート結果も出ているという。このような取り組みが認められ、2018年6月には、「子育てに優しい企業」として、厚生労働大臣より「プラチナくるみん」の認定を受けた。しかし、伊藤さんは、「これからは家族の介護への対応も必要になってくる」とみている。「時代によって求められるものに耳を傾け、より働きやすい職場環境の実現に向けて検討していきたいです」と語る。
希望のキャリアを実現しやすく
ワーク・ライフ・バランスの改革だけではなく、女性のキャリア形成に向けた制度改革にも取り組んでいる。2016年に、パートタイマー向けに新たな社員登用制度を新設。これまでは勤続3年以上に限られていた正行員登用を、勤続2年目からでも登用できるように改善した。さらに、「女性管理職候補者研修」「女性役席候補者研修会」を開催。将来の銀行の中枢を担う管理職を女性の中から積極的に輩出するのが狙いだ。「アンケートを採ってみると、管理職になりたい女性は多いのですが、スキルに自信がないという意見が多く寄せられました。管理職は“目指す”のではなく、今の仕事を少しずつステップアップしていくことで、おのずと見えてくるものだということを周知していきたいと思っています」。現在、長野銀行の女性管理職数は3名。「行内の意識改革がまだまだ必要です。今後もしっかり取り組んでいきたいです」と伊藤さんは意気込む。
全社一丸となって、女性活躍をバックアップ
チームを立ち上げてから、6年。行内での存在感も日に日に高まっており、行員一人ひとりの意識の変化を実感している、と伊藤さんは語る。2018年7月には、長野県と連携して、「イクボス・温かボス(あったかボス)宣言」を表明。関連会社を含めた55名の管理職職員が、働き方改革の導入や女性活躍推進への取り組みを、今後も継続的に推進していくという決意を内外にアピールした。また、女性行員有志による「ステラミーティング」を定期的に開催。女性専用の住宅ローンやLGBT対応の住宅ローンなど、女性の視点を活かした商品やサービスを提案している。伊藤さんは「女性の意見が積極的に採用され、ひとつの形になっていく喜びを実感しています」と微笑む。さらに、女性の働きやすさを実現している企業として、学生からの人気が向上。インターン希望者も急増するなど、ブランディングにも大きな効果をもたらしている。
「女性行員」を一言で括ることはできない。はじめての子育てで不安を抱える行員もいれば、シングルマザーで頑張っている行員や独身の行員もいる。すべての女性が気持ちよく働ける環境を整備するのは、決して簡単なことではないが、伊藤さんたちの取り組みによって、長野銀行の職場環境は、着実に改善・整備されてきている。「まだまだ課題は山積しています。私たちの活動にゴールはありません」。地域住民の幸せに寄り添う長野銀行は、女性の幸せにも寄り添い続けていく。
CASE STUDY働き方改革のポイント
勤務時間を自由に選べる、短時間勤務制度。
- 効果
- 行員一人ひとりの事情に合わせて勤務時間を自由に選択できるように短時間勤務制度を見直した。産休・育休中の行員がスムーズに復職できるようサポート体制も整備。また、男性行員の育児休業取得も積極的に推進し、現在までに20名が利用している。
女性のキャリア形成への取り組みや、パートタイマーの正行員への積極的登用
- 効果
- 勤続3年以上に限られていたパートタイマーから正行員への登用制度を、一定の条件をクリアすれば、2年目から登用できるように改革。また、管理職を目指したいという行員のために研修会を開催するなど、女性のキャリア形成に向けた様々な取り組みを行っている。
長野県と連携し、「イクボス・温かボス宣言」を表明。
- 効果
- 関連会社を含めた管理職55名が、働きやすく暮らしやすい社会を実現するために、働き方改革の導入や女性活躍推進への様々な取り組みを行うことを宣言した。また、女性の働きやすさを実現している企業として、学生からの人気が上昇。企業のブランディング価値向上にも貢献している。
COMPANY DATA企業データ
「長野県のマザーバンク」を目指して
株式会社長野銀行
代表取締役頭取:西澤仁志
本社:長野県松本市
従業員数:660名(2021年10月現在)
設立:1950年11月
資本金:130億円
事業内容:金融業
経営者略歴
1963年3月長野県生まれ。一橋大学法学部卒。
長野銀行には、2014年4月入行。
証券国際部部長、常務取締役などを歴任し、2019年6月頭取就任。