名古屋市北区にある有限会社タムカンパニーは1995年の創業以来、チームワークを重視してきた。設備メンテナンスを行う上で重要な技術力は、経験豊富な先輩から後輩へ丁寧なアドバイス等を行い、日々技術力の成長に役立てている。安全面はもちろん、資格手当、資格取得にかかる費用も会社負担などして各資格取得にも力を入れており、モチベーションを持ちながら技術力の向上をめざしている。

きっかけは経営者が経営に専念できる環境整備から

　働き方改革取組担当者の管理部主任　内山未琴さんにお話を伺った。

　「当社は、代表取締役自らが会社の管理部門を担当していました。経理等の事務作業に時間がとられ、経営的な業務を兼ねて行うことが、困難になってきたため、総務担当者を雇用しました。また、総務業務の効率化のため、業務支援システムを導入し、経営者が費やしていた時間や労力の軽減を進め、他の重要な基幹業務に注力できるようにすることにしました」とシステム導入の経緯を語ってくれた。

　管理業務の効率化を進め、経営者が本来の基幹業務に注力できる環境を整備することが、働き方改革の取組へのきっかけとなったことが窺える。

IT活用によりバックオフィス業務を効率化

　「業務支援システム」の導入により、総務担当者の負担軽減にもつながった。従来社内で独自に行っていた給与計算業務は非常に時間がかかっていたため、クラウド型の給与計算システムを導入し、正確な計算と作業時間の削減を実現した。

　さらに、これまで、印刷と手渡しで手間や時間がかかっていた従業員に配布する給与明細も、各自のスマホにネット配信やWeb閲覧できるシステムを導入した。これにより、給与明細の印刷、配付作業が不要になり、管理部の担当者の工数削減につながった。従業員も、給与明細・賞与・源泉徴収票を確認し、必要に応じて印刷することもできるようになった。また、過去の給与明細も閲覧でき、従業員の確認・印刷忘れなどについても各自で対応することが可能となり、さらに総務担当者の手間を省くことができた。

給与明細のスマホ配信は便利です。

　「給与明細のスマホへの配信はいつでも必要な時に確認できるので、大変役に立っています。勤怠管理システムを利用することにより残業や休暇申請などの紙での提出が減り、ペーパーレス化に繋がっています」とシステム部の鈴木隼介さんは教えてくれた。給与明細等のWeb閲覧は、従業員の中でも評判は上々だ。

鈴木隼介（すずき・しゅんすけ）さん
メンテナンス部所属、機械の保守・メンテナンス業務、2017年4月入社

従業員の勤務状況をリアルタイムに把握

　従来のタイムカードや出勤簿への記入では締め切り日以降に集計を行っていたため、残業時間などの勤務状況は集計後でないと把握できなかった。勤務状況を適時・的確に把握するため新たに勤怠管理システムを導入し、出勤簿をデジタル化することにした。これにより管理者が従業員の勤怠管理を毎日、リアルタイムで行うことができるようになった。さらに、予め各従業員のシフトを設定し、日々の人員配置状況を把握することができるようになった。

　また、従業員の各申請（残業、出張、有給休暇、打刻修正）の承認がシステム上で可能となったため、有給休暇の取得状況・残業時間の累積などをリアルタイムに確認できるようになり、有給休暇取得を促進につながった。有給休暇の管理にも対応しており、従業員が取得した有給休暇は、「年次有給休暇管理簿」としてＰＤＦやＣＳＶファイルで出力することが可能になった。

IT活用によりさらなる働き方改革を推進

　取材に応じてくださった管理部主任の内山未琴さんは、自社の取組みについて次のように語ってくれた。

　「毎月、給与明細の配布準備が面倒でしたが、給与明細のネットでの配信システム導入により、紙で印刷し準備する必要がなくなりました。その分の作業時間がなくなり、業務の効率化が可能になりました。また、いつでも給与データが確認できるので、便利になりました。新たにＤＸ化への推進として、勤怠管理システムの導入も進めましたが、従業員の勤怠状況が、リアルタイムで把握ができるため管理上、役立っています。これから、さらに便利な運用を検討していきたいと思っています」と、今後のさらなる働き方改革推進に意欲を見せてくれた。

担当として働き方改革の取組を進めた内山未琴(うちやま・みこと)さん

支援社会保険労務士：後藤昌雄氏（愛知県）