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有限会社奥州秋保温泉蘭亭

業種

宿泊業,飲食サービス業

地域

北海道・東北

従業員数

50〜99人

File.159

働き方改革と新規事業推進でコロナと闘いながら地域活性化に取り組む ―宿泊業で秋保地域活性化に取り組んでいる「有限会社秋保温泉蘭亭」の場合―

生産性の向上による処遇改善

2023.03.24

有限会社奥州秋保温泉蘭亭

 奥州秋保温泉蘭亭は、平成7年に旅館としてオープンし、どこよりも早く「ファミリー」に優しい宿として地域内外から愛されてきた。「ひとにやさしいハートフルな宿」として、老若男女問わず満足して頂ける様、県内唯一の畳風呂、ウェルカムベビーの宿認定などサービスの幅を広げている。また、昨年からは宮城県内初のドーム型グランピングをオープンし、アウトドアサウナ、車中泊スペース、プールサイドイルミネーションなど地域に新たな客層を呼び込み観光促進を図っている。

ラウンジ/くつろぎの空間

新規事業と働き方改革を両輪として、秋保地域の活性化に取り組む。

 新型コロナウイルス感染症や2021年福島県沖地震の影響で、宮城県仙台市郊外にある秋保温泉地区のホテル・旅館はどこも壊滅的な打撃を受けていた。弊社ではこの逆風に対して新規事業(グランピング施設のオープン)の立ち上げを行った。
 また、長期的な雇用の安定とサービスの品質向上が必須であるため、パートタイマーの大半を占めていた高齢の従業員の補充として、新卒の正社員を採用することとしている。
 長時間労働や従業員の定着率が低いのがこの業界の慣例だが、従業員の定着のためには労働時間の削減や働きやすい環境の整備、また、生産性向上のための従業員教育や設備投資を自社の課題として、社会保険労務士佐々木章良氏のサポートを受けつつ、新規事業と働き方改革を両輪として、秋保地域の活性化に取り組んでいる。

新規事業立ち上げと働き方改革により、秋保地域活性化を図る/伊藤正治支配人

新規採用・社員教育

 従業員の多数を占めていたパート・アルバイトから新規採用の正社員に入れ替えることで、マルチタスク人材を増やす人事計画を実施している。職務分析・職務評価コンサルティングやキャリアコンサルティングを実施してスキルマップ作成やキャリアプランを構築することで、従業員のマルチタスク化を図っている。その結果、新規事業を担当できる従業員が増加している。今後の課題として社内・社外研修をさらに充実させ、マルチタスク人材をさらに増やすことで、業務効率化やサービスレベルの向上を目指している。
 また、IT化やSNS対策には力を入れており、令和2年から部署を超えた若手中心によるYouTubeチームを結成。社外へ発信を続けている。

フロント風景

生産性向上

 労働時間削減および設備の老朽化対策として、生産性向上の設備投資を積極的に進め、IT化に力を入れている。
 セミセルフレジの導入といったIT化にあたり各部署に普段の業務の洗い出しをしてもらい、改善できそうな案を出していくことで、普段は接客現場業務に従事している従業員にも、課題解決の意識や目的意識が芽生え始めた。また、補助金活用をする際には紙の使用量や従前の作業時間と改善後の作業時間の差等からその目的や効果を示す必要があり、それによって従業員の提案力向上にも繋がっている。
 さらに、自ら新しいシステムの導入にかかわることで、そのシステムや機械について自発的に勉強し、質問をしていくという流れができ、新入社員やベテラン社員を問わずに教えあえるようになり、コミュニケーションの活発化のきっかけにもなっている。

業務改善、生産性向上の旗振り役/山尾晋哉管理部マネージャー

助成金・補助金の活用

 労働時間削減および設備の老朽化対策として、設備投資を積極的に進めるため、助成金・補助金を活用し、設備投資による生産性向上が実現でき、コロナ前から比較して時間外労働の約20%削減を実現している。

入浴場/県内唯一の畳風呂

当社の今後の取組方針

1. 業務効率化・労働時間削減に関して一定の成果を出すことができたが、全国旅行支援の開始やグランピング施設が人気で人手不足なのが現況。繁忙期でも長時間労働時間にならないよう、更なる業務効率化と新規採用の強化に取り組むことが課題。また、地域の活性化を目的とした新規事業を今後も行うために、従業員のリスキリングや地域創生の経験がある人材の採用にもっと力を入れられるように、新しい事にチャレンジでき、働きやすい職場の実現を目指す。

2. 業務改善の取り組みを通じて意見が言えるようになったことだけではなく、全員が運営や経営のことを考えて日々の業務に従事できるようになりつつある。引き続きコミュニケーション力の向上を図りつつ、ES(従業員満足度)の向上に向けて、従業員主体で考え津体制をより強固にしていくと共に、費用対効果や損益分岐点など役職者でなくとも課題抽出からPDCAを回せるような社内体制を確立する。

支援社会保険労務士:佐々木章良氏(宮城県)

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

マルチタスク人材の育成

効果
温泉旅館は多くの職種が助け合うことで成り立っており、マルチタスク人材を増やすことで休みの取りやすい職場環境が実現。
取組2

生産性の向上への取組

効果
IT化により、予約状況確認や発注業務を紙ベースからオンライン確認に変更。時間ロスが削減され、大幅な業務効率化が実現。
取組3

助成金・補助金の活用

効果
新型コロナの影響でホテル業の業績が大幅に悪化している中、助成金・補助金活用で投資費用を圧縮、集客や生産性向上に寄与。

COMPANY DATA企業データ

ひとにやさしいハートフルな宿

有限会社奥州秋保温泉蘭亭

代表取締役社長:菅原幸子
所在地:宮城県仙台市太白区秋保町湯元字木戸保7-1
従業員数:83 名(2022年12月現在)
設立:1963年2月
資本金:3,000万円
事業内容:宿泊業、グランピング業

経営者略歴

菅原幸子(すがわら・さちこ)
略歴:有限会社翠明荘に入社後、サービスだけでなく宿泊業の経営など幅広く学び、代表に就任。
以後、社名を奥州秋保温泉蘭亭へ変更し、宿泊業の囚われない新たな事業を展開。