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ベストパートナーズ税理士法人 村上事務所

業種

学術研究,専門・技術サービス業

地域

中部

従業員数

10〜29人

File.161

長時間労働削減に向けてワンチームで改革 -経営サポートのプロフェッショナル集団「ベストパートナーズ税理士法人 村上事務所」の場合-

時間外労働の削減

2023.03.24

ベストパートナーズ税理士法人 村上事務所

 1967年税理士事務所として創業したベストパートナーズ税理士法人 村上事務所は、創業以来55年にわたり、「私達は、心豊かな人生を実現し、お客様のベストパートナーとして、その永続的な繁栄と地域社会の発展に貢献します」という揺るがぬ企業理念のもと、地元の中小企業を中心としたお客様に寄り添いながら、税務会計を始めとする経営サポートを行っている。

「従業員が健康であることが大切」と考え、長時間労働削減に着手

 代表社員の村上慎一郎さんは、「従業員が最大限に能力を発揮できる職場」であるためには、従業員が健康であることが大切であり、自社の働き方改革としてまずは長時間労働の削減を実現すべきと考えた。しかし、決算や申告などの繁忙期もあるため、「業務効率化」と「質の確保」が同時に実現できるのかという不安もあったという。そのような悩みを抱えながら、職場の意見を聞き、11時間の勤務間インターバル制度の導入を決めた。

 


村上慎一郎代表社員   

 これまでは、属人化している業務が多く、進捗状況の管理や従業員間での連携が取りづらかったという。そのため、特定の従業員に時間外労働が偏る、決算や確定申告業務の繁忙期には十分な休息時間が取れないまま勤務することになる、希望する日に有給休暇が取得しづらい、といった状況もあったそう。それらに加えて、顧問先への移動に多くの時間が割かれ、本来の業務にかけられる時間を大きく圧迫していたことも時間外労働が常態化している要因だった。

 業務の方法・管理などが人により異なる状態だったため、担当者以外は進捗状況が把握できず、担当者が不在の時は顧問先等への対応が滞ることもあった。さらに、顧問先へ移動しなければ業務ができないという状況の改善は従業員の個別の努力では限界があり、時間外労働が漫然と発生している状況に半ば諦めの雰囲気が漂っていた。

在社できる時間を決め、その中で業務をやりきるには?という視点で考える

 このような状況を打開するべく、業務の効率化について検討を開始した。進める中で、働き方改革推進支援センターの専門家から「勤務間インターバル制度」という考え方について紹介を受けた。

 「長時間労働を削減する」という目標を達成するために、まず在社できる時間を決め、その時間の中で業務をやりきるにはどうしたらよいかという視点で考えていくこととし取り組みを開始した。

業務の洗い出し・選別を行ったうえで共通化できる仕組みを導入

 限られた時間の中で業務をやりきるため、はじめに現状の業務の洗い出しからスタート。重要度、頻度などを基準に業務の選別を行ったうえで、共通化できる仕組みとして、クラウド業務システムを導入することとした。実際には、税務や会計業務という特性上、多くのカスタマイズや従業員が使いこなすための教育が必要となり、導入に当たっては専門のコンサルティング業者の協力を得ながら進めた。

 クラウド業務システムによる業務改革で、属人化していた業務を共通のプラットフォームにしたことにより、従業員間での情報共有や必要な連絡を即座に行える環境が整った。その効果で個人特有または重複していた業務時間が大幅に削減し、従来の業務に比べ15%程度の時間の効率化に成功、顧問先への提案など企画業務に充てられる時間が生まれた。

 効果があったのは、時間削減だけではない。従業員間で情報共有や進捗管理が行えるようになり、担当者以外でも顧客へ対応ができるようになったことで、サービスを低下させることなく従業員は希望する日に有給休暇を取得できるようになった。

労使ともに労働時間に対する意識改革も必要

 11時間の勤務間インターバルを実施していく上では、労使ともに労働時間への意識改革も必要だと考えた。そのために重要となるのは、勤怠管理だ。従来は、手書きにより行っていたが、記入漏れや記入ミスがあった場合には、その都度確認に時間を要する上に、集計についても担当者の負担が大きかった。そこで、客観的に労働時間が把握できるようにするために、勤怠管理システムの導入を決めた。

 これにより、時間外労働や有給休暇などについて、従業員は自身で即座に確認でき、管理者や集計担当者も従業員ごと・部署単位・事務所全体の状況がデータとして一覧できるようになったため、労働時間に対する意識が高まった。さらに、必要な勤怠データの取得や各種申請書のペーパーレス化も実現し、管理部門の業務効率化にも大きく貢献している。

システムの導入により業務全体の大幅な効率化が図れた

 監査部の相山卓也さんは、改革前の状況について、「年々増加する仕事量に反比例して従業員数は減少の一途を辿っており、既存の業務プロセス・フローでの対応が限界となっていました」と語る。特に、問題となっていたのは「ノウハウや知識の属人化」、「膨大な紙資料」の二点だったそう。

 「それを改善する手段が『クラウド業務システムの導入』でした。顧問先の情報をデータベースに一元化することで、すべての従業員が共有可能となりました。また、紙の資料をクラウド業務システム上にデータ化することによって、アクセシビリティが向上し、業務全体の大幅な効率化に寄与しました。また、これは思いもよらない効果でしたが、機能の一つとしてあった『コミュニケーションスペースの利用』によって、必要な資料等の情報共有のみならず、従業員間でのコミュニケーションが増えたのも喜ばしいことでした」と振り返る。「今回の取り組みは、従業員間で知識やノウハウが共有され、今後も『お客様へのベストパートナーになる』という当社の理念のもと社員が一丸となるための大きな下地となってくれています。」

 代表社員の村上慎一郎さんは、今回の取り組みを振り返り、次のように語ってくれた。「勤務間インターバル制度の導入に当たって、労働時間等改善設定委員会開催などで意見交換を行うことによって、事務所全体で時間外労働削減、労働時間管理に対する意識が高まりました。勤務間インターバル制度については、全員で制度の趣旨をよく理解し、遵守していきたいです。会社が業務効率化(生産性向上)を通じて雇用環境の改善(長時間労働削減、有給休暇取得率向上)を行うという目標を労使で共有し、一丸となって取り組んだことは、事務所として貴重な体験でした。今回の改善に関するPDCAを行い、更なる『働き方改革』を行っていきたいです」

 長期にわたって地域と各企業の経営をサポートし続けてきた、ベストパートナーズ税理士法人 村上事務所。これからも、従業員が最大限に能力を発揮できる職場づくりを推進し、お客様のベストパートナーとしてお客様に寄り添いながら走り続けていくことだろう。

支援社会保険労務士:大門充子氏(富山県)

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

勤務間インターバル制度の導入

効果
長時間労働の削減に向けて、まず在社できる時間を決め、その中で業務をやりきるにはどうするべきかという視点で改革に取り組んだ
取組2

クラウド業務システムによる業務改革

効果
属人化していた業務を共通プラットフォームで進めることで、従業員間の情報共有等が即座に行えるようになり、業務時間を大幅に削減できた
取組3

労働時間への意識改革

効果
勤怠システム導入で本人も上司も時間外労働時間等がリアルタイムで確認できるようになり、労働時間への意識が向上した

COMPANY DATA企業データ

私達は、心豊かな人生を実現し、お客様のベストパートナーとして、その永続的な繁栄と地域社会の発展に貢献します。

ベストパートナーズ税理士法人 村上事務所

代表社員税理士:村上慎一郎
所在地:富山県高岡市
従業員数:20名(2022年12月現在)
設立:1967年9月
資本金:300万円
事業内容:税務会計、経営支援、相続・事業承継、創業支援

経営者略歴

村上慎一郎(むらかみ・しんいちろう)
2006年税理士法人プライスウォーターハウスクーパース入所。2012年同法人退所。
2013年1月にベストパートナーズ税理士法人 村上事務所の所長に就任。