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学校法人木の花学園

業種

教育,学習支援業

地域

九州・沖縄

従業員数

10〜29人

File.173

同一労働同一賃金に基づいた非正規雇用職員の待遇改善と人事評価制度の導入 ―公平な人事評価を実施し、職員のモチベーションが向上した「学校法人木の花学園」の場合―

同一労働同一賃金の実現

2024.03.22

学校法人木の花学園

 学校法人木の花学園は、昭和初期、興禅寺にて安部融庵和尚が寺子屋を開設し、昭和36年4月1日、木の花幼稚園として開園した。その後、平成27年4月1日、幼保連携型認定こども園木の花幼保園として県の認可を受け、現在に至る。

 学園の教育ビジョンは次のとおりだ。

 「結果」も大切であるが、最も大切にしているのは「プロセス」である。それが、子供たちの多くの「心」を育て、生き方の素地を養うのである。将来の社会を担える大人へと育ってくれることを願い、子どもたちの無限の可能性を引き出すお手伝いを行いたい。

 教育ビジョンを実現するために、教育を担当する保育教諭等の処遇改善を行い、質の高い教育環境を整備していくことにした。

正規職員と非正規雇用職員の待遇を点検・検討

 園長の平野里恵氏は、今回の取り組みのきっかけなどについて、次のように語った。

 「保育職員の質の向上と定着に悩みを抱き、人材が少ない中で、以前からどのようにして雇用を維持していくのかを試行錯誤してきました。そこで今回、その問題解決のひとつとして、同一労働同一賃金の実現に取り組もうと思い、専門家と共同して学園における正規職員と非正規雇用職員に対する待遇差実態調査のワークシートを作成し、それを基に、不合理な待遇差がないかを検証してみました。近年、人材確保は喫緊の課題でありますが、正規職員と非正規雇用職員との待遇差を改善し、また、正規職員、非正規雇用職員に関わらず人事評価を導入したことにより、職員のモチベーションも向上し職場が活気付いております。そのことが人材確保の面で追い風となりそうです。」

 正規職員と非正規雇用職員の給与について、支給基準が曖昧であり、以前より課題であった。

 そこで正規職員と非正規雇用職員の待遇差を確認する必要があると感じ、厚労省の「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」のワークシートに沿って、対象労働者をフルタイム有期保育士、比較対象労働者を正規保育教諭とし、両者の待遇の点検、今後の支給基準について検討を行った。点検の結果、正規職員と非正規雇用職員は保護者対応の有無や、職務における責任の重さ、配置の変更の程度、課されるノルマに応じ待遇の設定基準に違いを設けていることが確認された。そのため、当該基準に沿って正規職員と非正規雇用職員に差異を設けるのは、基本給と管理職手当だけとし、資格手当、経験手当、扶養手当、通勤手当については非正規雇用職員にも支払うことを決定した。

正規・非正規雇用職員に関わらない人事評価制度の策定

 以前より、職員の努力に対する評価基準が明確になっていないという課題があった。そこで、給与と連動させる人事評価規程を策定し、その際に非正規雇用職員も一般職員と同様に評価することで、正規・非正規に関わらず、公平な評価基準を定めた。評価は5段階評価とし、その区分は一般職員と管理職職員とし、非正規雇用職員も一般職員と同様に評価することとした。また、評価表は職責により求められる評価の着眼点を異なるものとし、評価表と連動させた基本給の賃金等級表を作成した。なお、人事評価の実施にあたっては、理事長、園長、直属上司からなる3名の評価者のうち、直属上司の評価を最優先の意見とし尊重することで、より職員の視点に立った仕組みとした。

非正規雇用職員の正規職員への転換制度の導入

 正規職員としての勤務条件を満たし、面接試験に合格した非正規雇用職員を正規職員へ転換させることについて、非正規雇用職員を対象とした就業規則に定め、正規職員への転換制度を構築した。職員の希望に沿った働き方を実現できる環境づくりの土壌を作ることで、職員のモチベーションアップを図った。

 職員の甲斐遥香さんは、今回の取り組みについて、以下のとおり語った。

 「今回の人事評価制度の再構築では、教諭としての成長のために何を頑張れば良いのかが示され、同時に年齢や勤務年数に関係なく、仕事の内容で賃金が決まる体制が整いました。私自身、ルールを守り、職務を正しく理解した行動をとることを、日々の業務で心がけているので、制度構築に共感しています。私は入職1年目です。経験を重ねて、園児の育成を促す教諭を目指し、報告、連絡、相談は常に心がけ園児の安全第一に努めたいと思います。」

地域社会から評価される学園として一歩前進できることを期待しています。

 学校法人木の花学園のチャレンジを支援した社会保険労務士の黒木順一氏は次のように語っている。

 「当学園は、宮崎県西臼杵郡高千穂町に位置しています。この地域は山間の風光明媚な観光地として知られ、国内外から多くの人が訪れる一方、地域の人口は少なく、当地では人材を確保することが大きな課題となっています。そこで今回、当学園のご理解のもとで、法令順守を基本の方針とし、人事労務に関する改善を行いました。今後、保育教諭として入職を希望する学生等が働きがいを求め目指す学園として、また、保護者が安心して子供を預けられ、地域社会から取り組みが評価される学園として、一歩前進できたと思っております。」

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

正規職員、非正規雇用職員の待遇の点検・検討

効果
両者の待遇を可視化することで、非正規雇用職員から待遇差について説明を求められた場合でも説明できる環境が整った。
取組2

人事評価制度の導入と公平な評価実施

効果
人事評価基準における評価内容の明確化と正規職員と非正規雇用職員を区別しない評価基準を設定し、職員に努力を促す体制を整備した。
取組3

非正規雇用職員の正規職員への転換制度の整備

効果
非正規雇用職員から正規職員への転換制度を整備したことで、職員のモチベーションアップにつながった。

COMPANY DATA企業データ

人として大切な「心の基礎」を育てる。

学校法人木の花学園

園長:平野里恵
所在地:宮崎県西臼杵郡高千穂町
従業員数:22名(2023年12月現在)
設立:1961年4月
事業内容:0歳児から5歳児の保育、木の花塾(20年後困難に打ち勝つ力を育む)、子育て支援など