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合同会社TA-TA

業種

教育,学習支援業

地域

中国・四国

従業員数

10人未満

File.175

職務分析・職務評価を活用した賃金制度・等級制度の構築 ―放課後等デイサービスを運営している「合同会社TA-TA」の場合―

同一労働同一賃金の実現

2024.03.22

合同会社TA-TA

 合同会社TA-TAは、子ども達やその家族の方の力になりたいという思いから事業を開始し、障がいの有無に関係なく、子ども達には放課後や休日を思いっきり楽しんで欲しい、そして障がいがあるからといって何かを頑張り過ぎたり、周囲から何かを求められ過ぎたりすることなく、子ども達の長所が最大限発揮できる場所でありたいと考えている。また、従業員の長所も最大限発揮できる環境づくりを行い、自分のこと、家族のことも大切にし、笑顔で1日が過ごせるような会社を一緒につくっていきたいと考えている。

職務分析・職務評価の実施

 代表社員の重樂遼氏は働き方改革へ取り組んだきっかけを次のように語った。

 「従業員が働きやすくなるように、今よりもさらに働きがいが持てるように、労務管理などの社内整備を実施しようと考えていました。課題の一つである賃金制度については『同一労働同一賃金』の言葉は、聞いたことがある程度で何から取り組めば良いか分かりませんでした。そこで、広島働き方改革推進支援センターに相談したところ、基本給の均等・均衡待遇を客観的に検証できる手法、職務分析・職務評価の提案があり、取り組むことにしました。社内整備を充実させることにより、従業員が笑顔で会社への満足感を持って働くことができるようになるだけでなく、ご利用者、保護者の皆さまがここを利用して良かったと思っていただける施設につながると確信しております。」

働き方改革へ取り組んだきっかけを語る代表社員の重樂遼氏

 今回の取り組みの中で、会社の賃金制度を考えるにあたり、正社員とパートタイマーの基本給において、均等・均衡が確保されているか、職務分析・職務評価の要素別点数法の手法を活用し、検証することとした。まずは、社員タイプを整理した上で、職務分析・職務評価を行う対象者を選定し、職務内容を洗い出して表にまとめた。次に、作成した表を基に、職務評価ツールを活用して、職務評価を実施し、均等・均衡が確保されているかどうか、プロット図で確認した。その結果、均衡が確保されていないとの結論に至り、等級制度や賃金制度の構築を行うこととした。

等級制度の構築

 職務分析・職務評価を実施した結果を基に、職務等級制度を構築することとした。もともと会社には等級制度がなく、正社員とパートタイマーの両方で新たに構築することとした。職務分析で整理した職務の内容を基に、将来的にパートタイマーの正社員転換を考え、正社員転換を行う対象等級として正社員1等級とパートタイマー2等級がリンクするように等級を設定した。

職務等級に対応した賃金制度の構築(手当の見直しを含む)

 正社員もパートタイマーも、基本給の決定基準が明確でなかった。そこで、職務給を導入するにあたり、正社員について等級ごとに賃金の上限下限を設けた。パートタイマーについては、正社員との人材活用の仕組みの違い等を考慮して時間給として設定した。正社員の賃金体系で、基本給以外に手当でも不明確な定義のものがあり、それを明確にして整理をし、一部は基本給に加算した。その結果、今までほとんど差がなかった基本給についても、職務等級ごとで賃金を設計することができた。

 利用者への支援業務を行っている中江悠二さんは、今回の取り組みを振り返ってこう話してくれた。

 「重樂代表とはこの合同会社TA-TAを設立した当初から一緒に働いておりますが、代表は、設立当初から、スタッフが働きやすい環境、そして、そこから生まれる安心感が、スタッフの心の余裕につながり、さらに、子ども達に良い支援・関わり方をすることができることにつながると考えていました。現在もその思いは変わっておらず、改革を通して将来的には今以上にスタッフが働きやすい環境のもと、子ども達が安心して通える放課後等デイサービスになっていると思います。今後もスタッフのことを考えた働きやすい環境づくりを継続してほしいです。」

設立当初からTA-TAで働いている中江悠二さん

「人財」が集まる、定着する、成長するための仕組みをつくり、魅力ある会社となるようしっかり支援します

 合同会社TA-TAの取り組みを支援した社会保険労務士の橋岡雅典氏は次のように語っている。

 「職務分析・職務評価は、『難しい』との声を耳にするので、支援時に心がけている点がございます。①分かりやすく丁寧に説明すること、②取り組みの目的を明確にすること、③何をするのか流れを理解していただくこと、などです。職務分析・職務評価の結果を基に、課題があれば賃金制度や等級制度を改善します。『人財』が集まる、定着する、成長するための仕組みをつくり、働きがいのある会社、魅力ある会社となるように、しっかり支援を行っております。」

支援を担当した社会保険労務士の橋岡雅典氏

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

職務分析・職務評価の手法の活用

効果
職務分析・職務評価の手法を活用することで、自社の正社員・パートタイマーの基本給における均等・均衡待遇の現状が把握できる。
取組2

説明義務にも対応できる賃金制度

効果
基本給における待遇差について、パートタイマーから説明を求められた場合にも、明確に説明することができる。
取組3

「人財」の育成につながる

効果
職務の棚卸を行うことで、等級ごとに必要な教育訓練を検討することができる。職務レベルの向上により、「人財」の育成につながる。

COMPANY DATA企業データ

自由な雰囲気で気負い過ぎることなく、自分のこと、家族のことを大切にし、長所が最大限発揮される場所へ

合同会社TA-TA

代表社員:重樂遼
所在地:広島市中区
従業員数:6名(2023年12月現在)
設立:2021年1月
事業内容:放課後等デイサービスを運営している。小学生~高校生までの障がいがあるお子さんや発達に特性のあるお子さんが放課後や休日等に、通所する施設。施設内外での様々な活動を通して、日常生活上の支援、社会性の向上(ルールや感情のコントロール、他者を思いやる気持ち)、学習指導等を行う。