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東亜エレクトロニクス(株)ハマトウカンパニー

業種

製造業

地域

中部

従業員数

50〜99人

File.176

パート社員の職務(役割)に応じた賃金制度の設計 ―公平感・納得感のある賃金制度を目指す「東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニー」の場合―

同一労働同一賃金の実現

2024.03.22

東亜エレクトロニクス(株)ハマトウカンパニー

 静岡県浜松市の東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニーは、変化即応をモットーとして、以下の3つの経営理念を掲げ、お客様のニーズに応えるべく地域性の強化とグローバル展開を積極的に進め、国内5拠点、海外5カ国6拠点でサービスを提供している。

.電機・電子技術分野において、顧客ニーズを常に先取りし、期待を上回るプラスαの価値を有する質の高い製品・サービスを提供することで、顧客のモノづくり力と収益力の向上に貢献する。

2.社員一人ひとりが自社に誇りを持ち、安心して仕事に従事し、目的意識と達成感を得られる環境を提供する。

3.事業活動を通して、環境と資源の保護に努めるとともに、地域と社会の発展に貢献する。

職務分析・職務評価の実施

 カンパニー長の小杉浩隆氏は働き方改革へ取り組んだきっかけを次のように語った。

 「パート社員の一部から『正社員との線引きが分からない』『パート社員同士でも業務内容や責任の度合いなどが異なるが、待遇面に不公平感を感じる』『パートはどこまで仕事をすればよいのか悩む』などの意見が出ていた。そこで、パート社員に対して会社から何らかの納得できる説明と解決策を提示したいと考えておりました。そのような時、働き方改革推進支援センターで職務分析・職務評価のコンサルティング支援を行っていると聞き、改善のヒントになるのでは思い、支援を申し込み、職務に見合った賃金制度設計ができることを目標に取り組みました」

カンパニー長の小杉浩隆氏

 「製造部門」に属する全社員に一日の職務内容を書き出してもらい、それをもとに面談しながら職務内容の洗い出しを丁寧に行った。パート社員と近い職務を担っている正社員を比較対象とし、働く場所や職務の転換の可能性の有無、労働時間の差異等の基礎情報も確認しながら職務構造表を作成し、それらの情報をもとに要素別点数法を用いてそれぞれの職務内容を評価した。具体的には、人材代替性や革新性などの8つの評価項目を設定し、評価項目ごとに各労働者の職務を「職務ポイント」として点数化した。

正社員とパート社員の均衡待遇が保たれているのか検証

 職務評価を行った結果職務ポイントの高い一部のパート社員について、職務ポイントの近い正社員に比べて賃金が低い傾向にあることが判明した。すなわち、基本給について、正社員とパート社員の間で均等・均衡待遇が確保されているとは言えないという分析結果になった。

新しい期待役割と、それに見合った時間賃率を設定

 一部のパート社員を正社員並みに活用する方針を決めた。パート社員の職務(役割)等級を大きく3段階に分け、新たにパート③というランクを設け、その期待される役割を「主に作業者の中心的な立場として正社員とともに定型職務及び一定の判断業務も行う」とした。また、賃金も同様の職務を担っている正社員と同等程度に設定した。パート①とパート②のランクも同様に、それぞれの職務の大きさに見合った期待される役割を定義づけし、賃金についても職務の大きさに基づいて定めた。

 製造部部長の丹羽章仁さん、管理部次長の橋本雅央さんは、今回の取り組みを振り返ってこう話してくれた。

 「職務分析・職務評価を行う中で、業務の可視化、定量化をしたことにより、客観的に職務内容を認識できました。また、『仕事を沢山やることが良い』などの固定概念がありましたが、8つの評価項目で多面的に職務を判断したことにより、職務の重要性や責任の度合いなどを考慮して評価をすることができました。同時に、職務の大きさを職務ポイントという数字で表すことも腑に落ちました。現段階はパート社員の賃金について合理的な説明ができるというスタートラインで、今後は、賃金に対する役割をどう具体的に表していくのか、また、パート社員の動機づけなどの運用面を考えていきたいです。」

製造部部長の丹羽章仁さん

管理部次長の橋本雅央さん

職務の大きさ対応した納得感のある賃金設定が、従業員各々のモチベーションつながると思います。

 東亜エレクトロニクス株式会社 ハマトウカンパニーのチャレンジを支援した社会保険労務士の相川智子氏は次のように語っている。

 「今回行った職務分析・職務評価は、細かく職務の内容や難易度などを精査しなくてはなりませんが、企業側がとても積極的に取り組まれました。パート社員の中には、より難しい職務に挑戦したい方、指示された業務のみを希望する方など、様々な考えの方がいます。雇用形態に関わらず、職務の大きさに対応した納得感のある賃金が支払われることが、各々のモチベーションアップにつながるのではないかと考えます。中途採用、女性や高齢者の活用等においても同様の取り組みが役立つのではないでしょうか。」

取り組みを支援した社会保険労務士の相川智子氏

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

効果
同一企業内において、正社員、パート社員など、どのような雇用形態を選択しても、不合理な待遇差をなくす。
取組2

多様で柔軟な働き方を選択できるしくみ

効果
様々な事情や希望があっても職務内容、責任の度合いなどに応じ最適な働き方が選択可能。且つ、各々期待される役割も把握できる。
取組3

公平感、納得感のある賃金設定

効果
合理的な説明のできる賃金制度、賃金額の設定により公平感、納得感が得られ、それがモチベーションの向上につながる。

COMPANY DATA企業データ

素早く反応し、行動できる会社「変化即応型カンパニー」

東亜エレクトロニクス(株)ハマトウカンパニー

カンパニー長:小杉浩隆氏
所在地:静岡県浜松市浜名区
従業員数:80名(2023年12月現在)
設立:1956年5月
事業内容:電機・電子業界の総合ソリューション・プロバイダー その中でハマトウカンパニーは、①半導体・電子部品および産業用機器、電子管の販売、②受託設計サービス(ハードウェア、ソフトウェア、機構設計)、③受託製造サービス(回路基板の部品実装、ユニットの組立)、④組み込みシステムの設計・開発・製造・販売を行っている。