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NPO法人福岡県障害者雇用支援センターあゆむ

業種

医療・福祉

地域

九州・沖縄

従業員数

10人未満

File.188

1人ひとりの事情に合わせて長く働ける職場を目指して ー豊富な経験で障害者の”働く”を支援する「NPO法人福岡県障害者雇用支援センターあゆむ」の場合ー

同一労働同一賃金の実現

2024.09.25

NPO法人福岡県障害者雇用支援センターあゆむ

 福岡県久留米市で「障害のある方とともに働く地域づくり」に貢献しているNPO法人福岡県障害者雇用支援センターあゆむは、平成8年に「障害者雇用支援センター」として全国で4ケ所目に開設された福岡県障害者雇用支援センターを前身とし、長年にわたり障害者の就労支援を行ってきた。

 久留米地域で唯一「訪問型職場適応援者(ジョブコーチ)」を配置し、高い就職率、定着率を実現しており、訓練や就職後の支援の経験豊かな職員は、法人にとってたいへん貴重な人材である。そうした職員たちにこれからも活躍してもらうためには、ライフステージの変化等に応じた多様な働き方ができるようにしていくことが必要と考えている。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

 上田潤子理事長兼所長は、働き方改革に取り組むきっかけを次のように話してくれた。

 「これまでは主に、長年にわたり当事業所で働きながら経験と実績を積んできた正規雇用の職員達により、障害のある方、特に知的・発達障害のある方の就職・職場定着に関する支援を行って参りましたが、最近パートタイム職員の雇用管理区分を新たに導入したことに加え、現在50歳代の職員が3名在籍しているため、定年後再雇用の環境づくりに早めに取り組みたいと考えていたところです。どのように取り組みを進めていけばよいか分からず悩んでいるときにセンターの存在を知って支援を申し込んだことで、取り組みが前進しました。」

働き方改革へ取り組んだきっかけを語る上田潤子理事長

多様な働き方が選択できる職場づくり

 事業の性質上、業務遂行には経験と責任を要するため、従来職員は無期契約の常勤勤務者がほとんどで働き方の選択肢が限られていた。障害者に対しては自立を促す支援を、また企業に対しては障害のある人が働きやすい環境を整える支援を行うというノウハウを習得した職員は、NPOとして「障害のある方とともに働く地域づくり」に貢献していくためにも貴重な人材であるため、このような貴重な人材に長く働いてもらえるよう、職員のニーズの多様化に応えるとともに、今後定年を迎える職員の再雇用に向けた環境づくりを考慮して、パートタイムで働く選択肢を整備した。

同一労働同一賃金を念頭に労働条件を見直し

 非正規雇用職員と正規雇用職員との間で不合理な待遇差が生じないようにするとともに、業務量が多く、責任の重い正規雇用職員とのバランスがとれるよう配慮したいと考えたため、同一労働同一賃金の考えに基づき、非正規雇用職員の労働条件の見直しを行うことにした。

 まず手当全ての棚卸を行ったうえで、それぞれの手当について支給目的を整理し、正規雇用職員だけを対象とするものか、非正規雇用職員も対象とするものかという視点で仕分けを行った。正規雇用職員だけを対象としていたもののうち、非正規雇用職員も対象とすべきと判断されたものは、非正規雇用職員に対しても支給することとした。

 また、基本給や賞与についても、正規雇用職員との均衡を考慮して改善を図った。 具体的には、基本給の決定には業務量や責任の程度を考慮しつつ、職員の経験や専門度も評価することとした。賞与支給率は「業務量」「責任分担度」「難易度・専門度」の3つの分野で査定をし、長年働いた職員など経験や専門性の高い職員は、雇用管理形態によらず高く評価することが可能となった。

 これにより、正規雇用職員に限らず非正規雇用職員にとっても働きやすい職場となり、事業所にとって大切なチームメンバーが長く働き続けることで、利用者への最適なサービスが継続して提供できるものと期待している。

 

 2008年入職の職業指導員(就職のための訓練を担当)のAさんは、今回の取り組みを振り返って次のように話してくれた。

 「パートタイム職員として働くことになりましたが、所長は非正規雇用職員の処遇についてもよく考えてくださり、何度も面談してもらい、社労士さんにも相談してもらいました。その結果、同一労働同一賃金という考え方に基づいて、16年間培った経験やスキルをきちんと評価してもらえる処遇の下で、パートタイム職員として働くことができています。これからも引き続き頑張っていきたいと思います。」

 NPO法人福岡県障害者雇用支援センターあゆむの取り組みを支援した社会保険労務士の永松勝秀氏は次のように語っている。

 「所長は非正規雇用職員の待遇や再雇用制度の整備等を職場の課題と捉え、その解決策として『同一労働同一賃金』や『就業規則等の見直し』に関する情報収集を自ら行う中で、働き方改革推進支援事業を知り支援を申し込まれました。課題とその対策について既に十分な認識をお持ちでしたので、具体的な取り組み方法をお伝えし実際の作業をサポートしました。支援の内容を確実に実施し、最終的に見直しの内容を理事会で諮り成果を形にしたのは、所長の処遇改善への強い意気込みと実行力の賜物です。」

永松勝秀 社会保険労務士

支援を担当した社会保険労務士の永松勝秀氏

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

パートタイム職員の雇用管理区分を導入

効果
正規雇用職員に限定することなく、幅広い人材が活躍できる職場を実現。
取組2

同一労働同一賃金を念頭に労働条件を見直し

効果
勤務形態の違いによって不合理な待遇差が生じない、職員全員にとって納得感のある労働条件を実現。

COMPANY DATA企業データ

NPO法人福岡県障害者雇用支援センターあゆむ

代表者:理事長 兼 所長 上田 潤子
所在地:福岡県久留米市
従業員数:9名(2024年6月現在)
設立:2011年4月
事業内容:障害者の就労移行支援事業および就労定着支援事業において、一般企業へ就職をめざす障害のある方に対し職業準備訓練や就職支援、また生活支援を含む就労定着支援を行っている。