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株式会社東知

業種

製造業

地域

中部

従業員数

50〜99人

File.120

ISO9001の取得をきっかけに作業の標準化・情報のデータベース化を進め、改善し続ける企業へゴム生地、ゴム薬品、ゴム部品を製造・開発・販売する株式会社東知の場合

生産性の向上による処遇改善

2022.01.24

株式会社東知

 株式会社東知は1972年の創業以来、主に自動車に使われるゴム製品の製造・販売を行っている。2003年に創業者である父親の跡を継いで代表に就任した田邉英彦社長は、20年に渡り社内の改革に取り組んできた。ISO9001といった国際規格を取り入れ「改善」を続けることで、社員にとって働きやすい環境を整備。ゴム製造業界や自動車業界が大きく変化する中、生産性と品質の向上に挑戦し、お客様からも大きな信頼を得ている。

きっかけは、「品質不良を減らしたい」

 製造業において一定数出てしまう品質不良を減らすため、株式会社東知では90年代から業務マニュアルや規則の制定に取り組んでいたが、どれも部分的かつ一時的なものにすぎず定着しなかったという。そんな中、田邉社長が着手したのが品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001だ。コンサルタントの手を借りながら、通常の倍近い時間をかけて、品質を守るためのISO規格を自社の業務に徹底的に落とし込んで行った。2000年にISO9001の認証を取得すると、2002年には労働安全衛生マネジメントシステムに関するOHSAS18001、2004年には環境マネジメントシステムに関するISO14001と、次々と国際規格の認証を取得。その結果、社内の現実に則しつつ規格に沿った完全オリジナルの業務フローやマニュアルができあがり、それらは現在まで「改善」を繰り返しながら実際に生産現場で活用されている。

「今では、東知のマニュアルを見せてほしいと他社から言われることもあります」と話す田邉英彦社長
2000年から20年以上継続して認証を取得しているISO9001。

 自分たちの手で作った業務フローやマニュアルが認証取得という形で認められたことは、会社にとって大きな自信につながった。また、「品質マネジメントシステムを構築し第三者に認められている企業」としてお客様からの信頼度も高まったという。田邉社長は、「品質・労働安全衛生・環境のマネジメントシステムが根付いているのがよくわかるため、お客様に作業現場を見てもらうだけで営業になります」と話す。

情報を公開しデータベース化、社内もオープンな雰囲気に

 ISO9001の認証取得後に田邉社長が新たに取り組んだのは、製造ノウハウや技術情報のデータベース化だった。それまでは、たとえば材料の仕入れ価格などの情報もごく一部の社員のみしか知らなかったが、データベース化することで社内に公開。誰でも見積書を作ることができるようになった。また、経理部門は創業からずっと田邉社長の親族が担当していたが、他の社員に任せるよう組織を変え、併せて給与情報などもデータベース化した。当時30代だった田邉社長による大改革に、以前から勤務する社員からはとまどいの声もあったというが、これによって一部の社員に仕事が偏ることがなくなった。

「当時と比べると本当に若い社員が増えました」と話す小島真紀子さん

 1997年に入社した小島真紀子さんは、現在、管理グループでIT関係全般の維持・管理を担当している。データベース化した様々な情報を利用し受発注から生産計画、生産実績、出荷までを一括管理できるシステムの作成にも携わった。田邉社長による大改革を間近で見てきた社員の一人だ。東知では、新入社員はまず生産現場に配置され、業務知識を学ぶ。小島さんが現場で働いていた頃は業務が標準化されておらず、それぞれが各自のやり方で作業にあたっていた。そのため、引継ぎがスムーズに進まないことが多く、引き継ぎ直後は必ずと言っていいほど品質不良が増えていたという。それが、業務フローやマニュアルができ、さらにデータベース化が進んだことで作業が標準化され、引継ぎがスムーズに。また、自分の担当以外の作業も可能になるなど多能工化が実現した。社内の業務がシステム化され生産性が向上すると、社内の雰囲気が変わり、社員の定着率も上がったという。

社員がさらに働きやすい職場を目指して

 現在、東知では若くして管理職に就任した社員も多く活躍している。2015年に新卒で入社し管理グループで経理・労務・人事・採用など幅広く担当する神田和希さんもその一人だ。神田さんによると、入社後に生産現場に配置された頃と比べて現場の残業時間が減っているという。以前は、残業する際は責任者から口頭で指示されていたが、現在は残業指示書の送付が必要になった。各責任者が、事前に製造部長をはじめとした上司の許可を得た上で残業の時間を指定するため、残業時間が明確になり、残業の抑制につながっている。プライベートの予定を立てやすくなったことで、社員が仕事と私生活を両立しやすくなったという。また、「特に生産現場ではライン生産方式が取られていることもあり、正直、一人だけ休むのが憚られることもありました。でも今は、会社の方針として年次有給休暇取得を推進しているので、休みやすくなっています」と、神田さん。実際に、これらの取り組みが始まった頃、4年前と3年前の実績値を比べてみると、社員の月平均残業時間は31.26時間から20.04時間に短縮され、年次有給休暇の平均取得日数は7.3日から11.0日に増加している。製造業と聞いてイメージする残業の多さや休みの取りにくさも改善され、社員が働きやすい環境がますます整ってきた。

「経営者と距離が近く、とても話しやすい雰囲気の会社です」と話す神田和希さん(写真左)

この場所で製造業を続けていくために

 2016年からはISOに加えてTPM(Total Productive Maintenance)活動を推進している。今取り組んでいるのは、機械が故障などで止まり製造がストップするのを防ぐために重要な機械のメンテナンスに関わるシステム作りだ。このシステムが完成すると、在庫を持たずとも、必要な物を必要な時に必要な量だけ、ジャストインタイムで納品できるようになる。目指すのは、生産性のさらなる向上だ。

 「1995年にお客様から、『10年後にはオートバイの部品はみんな海外製になる』と言われました。時が経ってその通りになったので本当に驚きましたが、思い返してみると、業界の変化に対応する術を考えるようになったのはその言葉がきっかけでした」と田邉社長。「業界が変わり、より厳しくなった今も、日本国内で、岐阜県で、これまで通り製造業を営んでいくために、努力と改善を続けていきます」そう話す田邉社長は、しっかりと未来を見据えている。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

ISO9001をはじめとする国際規格の認証取得

効果
独自の業務フローやマニュアルを作成し第三者機関に認証されたことが自信につながり、お客様からも信頼を得られた。
取組2

あらゆる情報をデータベース化

効果
誰でも見積りが作れる、自分の担当作業の前後も把握できるなど、多能工化を実現。作業の標準化によって引継ぎがスムーズになり、社員の定着率も向上した。
取組3

残業指示書の作成、年次有給休暇取得の推進

効果
口頭で行われていた残業指示を書面化したことで、社員の月平均残業時間が約10時間短縮。また、年次有給休暇取得の推進により平均取得日数が7.3日から11日に増加した。

COMPANY DATA企業データ

事業の活動を通じ社会に貢献し自己の可能性に挑戦する

株式会社東知

代表者:代表取締役 田邉英彦
本社:岐阜県各務原市
従業員数:99名
設立:1972年
資本金:3,000万円
事業内容:ゴム生地、ゴム薬品、ゴム部品の製造・開発・販売

経営者略歴

田邉 英彦(たなべ・ひでひこ)
工学部出身。代表に就任後は血縁者による経営から意欲、実力のある社員による経営を目指すなど、風通しのよい会社への改革に着手。