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鹿児島製茶株式会社

業種

製造業

地域

九州・沖縄

従業員数

100〜300人

File.147

“キャリアも私生活も守る”制度改革で、定着率をアップ–140年にわたり茶の製造・販売を行う鹿児島製茶の場合–

多様な休暇制度

2021.11.30

鹿児島製茶株式会社

 鹿児島県・鹿児島市に本社を置く鹿児島製茶。茶の製造、茶専門店やスーパーへの卸販売のほか、県内に10店舗を展開する老舗茶屋「お茶の美老園」での小売販売も行っている。伝統を守りながらも時代に即した新しい技術や設備の導入を積極的に行い、近年では需要の高まる海外への輸出事業にも注力。豊富な商品展開でファンを増やしながら、国内外での販路拡大を続けている。

誰もが気兼ねなく休暇を取れる体制へ

 同社では新茶の季節である4〜5月とお中元・お歳暮の時期が忙しく、繁閑の差が激しいため「1年単位の変形労働制」の勤務スタイルを採用しているが、繁忙期には休みが不規則になるどころか、過度な連勤が続いてしまうケースも多かった。「忙しいから仕方ない」と、年次有給休暇を取得する人も少なかったという。

 不安定な勤務体制であることから、女性従業員は結婚や妊娠・出産を機に離職することが慣例となっていた。

 「当社のお茶を買い求められる方は女性が多い。お客様により喜ばれる商品を展開していくためにも、同じ目線に立って考えられる女性従業員の活躍も必要不可欠です。制度を整え、誰もが長く安心して働き続けられる環境をつくることが課題だと考えました」と語る、5代目・森 裕之社長。

 ワーク・ライフ・バランスについて考えるようになり、2011年頃から各種働き方改革をスタートした。

茶の価値を決める重要な作業「官能審査」を行う、森 裕之社長

 まず初めに導入したのが、全従業員を対象とした2つの休暇制度。通常の週休2日に3日をプラスして5日間の連続休暇を取得できる「リフレッシュ休暇」と、半年に2日(年に4日)、季節ごとに休暇を取得できる「シーズン休暇」である。

 本社は基本的に土日休みだが、「お茶の美老園」での店舗勤務の場合は連休を取ることすら珍しい。部門を問わずすべての従業員に、家族と小旅行に出かけるなどプライベートの時間を満喫してほしいという想いから生まれた制度である。課題の一つであった年次有給休暇の消化促進にも効果的に繋がっていったという。

働き方改革の中心となって活躍する、総務部の(左から)茶圓さん、小濵さん、米山さん

育児休業から復帰後も、安心して働ける環境づくり

 女性従業員の離職を防止すべく、各種子育てサポートにも取り組んだ。総務部が中心となって育児休業の取得を働きかけ、実績を重ねていくことで、“育休を取得し、復帰することが当たり前”という風潮を少しずつ築いていった。

 復帰後も無理なく働けるように、独自の「短時間正社員制度」も導入した。同社は1年単位の変形労働制のため時期により勤務時間が変動するが、この制度を利用すれば、待遇はそのままに、1年を通して9時〜17時(流通センターの場合は8時20分〜17時半)の固定の勤務時間内で働くことができ、一般社員よりも所定労働時間が短い働き方となる。育児・介護休業法では3歳未満の子をもつ場合に所定労働時間の短縮が認められているが、希望者は会社との同意のうえ、それ以降も引き続き短時間正社員として勤務できる。

 また、こどもが病気の時などに取得できる「子の看護休暇」の対象年齢を、小学生未満から中学生未満(小学6年生まで)に拡大。法改正により「時間単位の年次有給休暇制度」が導入される前であったが、できるだけ取得の機会を増やせるようにと、1時間からの時間単位でも取得できるように整備した。

 

 さらに、子の学校行事など看病以外のケースでも休暇が取れるようにと、「育児目的休暇」制度も導入。半日有給の特別休暇として年2日まで取得できる。 

 4人のお子様をもつ総務部・小濵さんも、導入後すぐにこの制度を利用した。

 「年次有給休暇の切り替え時期で、もう休暇が残っていない年度末でしたが、新年度準備のために保育園が臨時休業するとのことで、どうしても休まなくてはいけない日がありました。そんな時にこの育児目的休暇を利用し、本当に助かりました」(小濵さん)

小濵 愛里さんは今年で勤続10年。第4子のご出産時に育児休業を取得し、現在は「短時間正社員制度」を利用しながら勤務している。

 新しい制度を積極的に導入し、周知を行った結果、女性の育児休業取得率は100%に。復帰後も長く働き続ける従業員が増えていった。近年では、各部門から集まった女性従業員12名による社内開発チームが作られ、そこで生まれた商品「Satsumarché」が世界的なコンテストで受賞するなど、その活躍ぶりはめざましい。

 女性はもちろん、男性従業員への育児休業の働きかけも進め、2017年には「鹿児島県イクボス推進同盟」に加盟。翌年には社長自らが5日間育児休業を取得した。その効果もあり、2021年は3名の男性従業員が取得した。今後さらに1名が取得予定だという。

 幅広い取り組みが評価され、2012年には「くるみん」、2016年には鹿児島県内で第1号となる「プラチナくるみん」の認定を受けている。

より快適かつ柔軟な労働環境を目指して

 “しっかり休める環境づくり”を目指し、普段の業務についてもさまざまな見直しを行った。その一環として、閑散期の毎週木曜日を「ノー残業デー」に設定。部長や課長など管理職が模範となり定時に帰るようになると、次第に他の従業員にも早く帰る意識が根付き、月平均10時間だった時間外労働時間を、月平均5時間まで削減することができた。

 さらに、忙しい時期でも誰かに仕事が偏ることなく、他のメンバーとフォローし合える体制をつくるため、業務マニュアルを用いたスキルマップを作成。業務の平準化や効率化に繋がり、繁忙期であっても交代制で休日を確保できるようになったという。

 また、多様な働き方の実現のため、デスクワークの従業員を対象に2020年からテレワークを試験導入。パソコンでの作業は自宅で行い、庶務的な作業がある場合や他メンバーのサポートが必要な時は出社するなど、テレワーク・出社それぞれのバランスを個々で柔軟に設定することができる。試験運用を経て、より定着させていくことを目指している。

 

 最近では、総務部が中心となり、次年度の新就業規則の見直しに向けての対応も進めている。今後予定している取り組みの一つが、年次有給休暇の取得方法の変更。より多くの休暇を取得できるよう、従来は新たに付与された分から消化していたが、今後は前年度の繰り越し分から使えるように整備していく予定だ。

 今年で美老園の創業から140年目を迎えた同社。これまでの“当たり前”に縛られることなく、新たな可能性を受け入れ、柔軟に変化を続けていく姿勢が茶づくりにも働き方にも良い影響をもたらしている。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

リフレッシュ休暇・シーズン休暇を導入

効果
5日間の連続休暇と、半年に2日(年4日)取得できる特別休暇を整備。年次有給休暇の取得促進にも繋がり、43%だった有給取得率が62%にアップした。
取組2

育児休業を推進&復帰後の体制を整備

効果
総務部が中心となり育児休業の取得を働きかけたことで、気兼ねなく取得・復帰できる風潮ができた。また、短時間正社員制度、育児目的休暇などの導入により安心して復帰できる環境を整えた。男性従業員の取得者も出ている。
取組3

労働時間や業務配分を見直し、より働きやすく

効果
ノー残業デーの導入などにより、時間外労働時間を月平均10時間から月平均5時間まで削減。スキルマップの作成により業務が平準化され、繁忙期の休日の確保にも繋がった。

COMPANY DATA企業データ

「誠実奉仕」を掲げ、お茶ひとすじ140年

鹿児島製茶株式会社

代表取締役:森 裕之
本社:鹿児島県鹿児島市
従業員数:123名(2021年11月現在)
設立(創業):1947年 8月
資本金:4,900万円
事業内容:茶の製造、卸・小売販売

経営者略歴

森 裕之(もり・ひろゆき)1973年生まれ。1997年鹿児島製茶株式会社入社。2001年常務取締役に就任。2003年専務取締役に就任。2011年代表取締役社長に就任。日本青年会議所茶業部会部会長、全国茶業連合青年団団長などを勤め、現在、鹿児島県茶業団地協同組合理事長なども務める。