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有限会社ゑびや

業種

宿泊業、飲食サービス業

地域

中部

従業員数

30〜99人

File.18

来客データを分析「サービス業の世界観」変える―伊勢神宮参道の老舗 ゑびやの場合―

柔軟な勤務形態

2020.02.21

有限会社ゑびや

「ゑびや」店舗2階にあるオフィス。WEB会議で沖縄など遠隔地のメンバーともやりとりする

 三重県伊勢市。伊勢神宮の参道、おはらい町通りに創業100年を超える老舗「ゑびや大食堂」はある。ゑびやの小田島春樹社長がデータを活用するなど業務内容や働き方を見直し、2019年は、全従業員が2週間の連続休暇を取得できるようにした。

飲食店で働く人の幸せ追求、たどりついた「2週間連続休暇」

 「ゑびや大食堂」は、松阪牛や伊勢海老など新鮮な地元の食材を使ったメニューで観光客の人気を集める。2週間の連続休暇の実現は、サービス業、飲食業での働き方について、小田島社長がたどり着いた一つの答えだ。 「飲食業は一般的には長時間労働で、なかなか休みも取得できない。土曜、日曜もずっと働いている。どうしたら世の中にある一般的な仕組みとのギャップを埋めることができるのか」。小田島社長は2012年の入社以来、サービス業、飲食業の働き方を考えてきた。

 東京での会社員時代、働くことについて「1日で終わる仕事はなく、常に仕事に追われている」と感じていた。結婚を機に妻の父が経営する「ゑびや」に入社し、「サービス業の仕事は、基本的に1日完結型で次の日に持ち越さないため、気持ちのいい仕事」と感じた。一方で、業態の性質上、平日に休めるものの、土曜と日曜、祝日は働かなければならない。このため「一般的なサラリーマンの人が味わえない環境を提供したい」と考えたのだ。「サービス業はお客様にハッピーになってもらうためにある。サービス業で働く人はもっと幸せであってほしい」との思いがある。

「サービス業もみんなで休む仕組みを作りたかった」と小田島社長

季節・天気・曜日の変動予測で勤務シフト、効率化で給与アップ

 店舗の来店客数は季節や天気、曜日によって変動がある。「勤務シフトの組み合わせによって、長期休暇をとることが可能ではないか」と3年ほど前から店舗運営の見直しに取り組んできた。店で働く従業員が1人で何人の顧客に対応できるかを算出する。季節によって来店客数に変動があることから、来店客数によって従業員のシフトを作る。
従業員の1人当たりの生産性、熟練度が上がると、より少ない人数で対応できるようになる。さらに、注文はタブレットを使ったセルフオーダー式にし、「注文のたびに従業員が席に呼ばれていく時間を減らし、別の仕事の時間にあてる」など業務の効率化も進めた。 この結果、店舗を少ない人数で運営できるようになり、従業員の休暇日数を増やすことに成功し、2019年に14日間連続休暇が実現した。「休暇が少ないと言われているサービス業でデータや店舗の実態をしっかりみることで、こんな世界観があることを伝えたい。みんなで休む仕組みを作りたかった」と小田島社長は振り返る。

 連続休暇は、店舗で働く従業員からも好評だ。その一人、大西愛里さんも「ゆっくり休むことができた」と笑顔を見せる。

「ゆっくり休むことができた」と大西さん

 現在、小田島社長は「この延長線上で、店舗の生産性を上げていくと1か月の連続休暇が実現できるようになるのではないか」とみている。小田島社長自身も2019年夏、3週間、仕事と休暇を兼ねてインドに行った。「すべての仕事はPC上、クラウド上で完結する仕組みを作っている。世界中どこでも仕事ができるようにしている」という。
また、天候や来店客数などデータに基づいた業務改革で売り上げを伸ばし、従業員の給与もアップした。2018年には、「ゑびや大食堂」から生まれた店舗経営ツール「TOUCH POINT BI」を提供する「EBILAB」 (エビラボ)を立ち上げた。「伊勢神宮の参拝客数が大きく伸びていない中で、新しい経営手法を使って売り上げを伸ばすほかない。この場所で戦っていくことを選択した時、最もアナログな飲食業を変えていこうと決めた」という。

「飲食業で働く方々を幸せにしたい」と秋吉さん

「企業の利益を従業員にどう還元するか」新たな仕組みに挑戦

 「EBILAB」でカスタマーサクセスプランナーを務める秋吉しのぶさんは、「ゑびや大食堂」で接客を担当していたが、パソコンやデータの活用に興味を持ち、異動した。「ゑびやは時間帯によってお客様が変わる。お客様の来店の実態をデータで可視化したかった」という。現在、店舗のデータ分析が従業員の働き方改革につながることにやりがいを感じ、「データ分析を通じて飲食業界で働く方々を幸せにしたい」と語る。

会社主催の沖縄旅行で笑顔を見せる秋吉さんら
休日にのんびり旅行を楽しむ大西さん

 小田島社長は、「サービス業は働いてくれる人がいなければ事業が成り立たない。そこで働く人が何を望んでいるかを考えている」。ゑびやは、年に1回、沖縄に正社員、パートタイマー、アルバイトと家族を含めて全員で旅行に行く。「企業の利益や資本をどれくらい、その企業で働いている人に還元できるか。企業の収益や資本をどのように、働きに見合った形で還元していくか。将来的には、時給に縛られないような働き方の仕組みを作っていきたい」。小田島社長は新たな目標を掲げている。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

長期休暇の取得を推奨

効果
2019年は14日間連続休暇を実施
取組2

AI(人工知能)とIT技術を活用して業務を効率化

効果
天候や来店客数などのデータを分析し、人員配置を行う

COMPANY DATA企業データ

有限会社ゑびや

代表取締役:小田島春樹
本社:三重県伊勢市
従業員数:43名(2019年9月現在)
創業:1912年
資本金:500万円
事業内容:飲食業

経営者略歴

小田島春樹(おだじま・はるき) 1985年、北海道生まれ。ソフトバンクを経て2012年、ゑびや入社、17年9月から代表取締役