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株式会社古城

業種

情報通信業

地域

九州・沖縄

従業員数

30〜99人

File.26

「大分の未来のために」若手が活躍できる職場を追求―ICT化支援で地元企業に貢献「古城」の場合―

残業削減・有給促進

2020.09.24

株式会社古城

 「若手が活躍できる職場とは」。多くの企業が悩んでいる問いに、「古城」(大分市)は正面から取り組んでいる。同社が設立されたのは1952年。当初は官公庁や建設業界の図面の印刷(青焼き業務)などを行っていたが、現在は建設業界を含む、大分県内の多くの中小企業のICT化支援を行っている。

 理念の一つにあるのが「地元企業への貢献」だ。古城一社長は「我々の事業を通してお客様にアクションしてもらうことで地元に貢献する。常に大分の未来を考え、先を見据えて行動していくことが大切だ」と力を込める。

古城の働き方改革について語る古城一社長

 その姿勢は働き方改革でも同様だ。ICT化支援に伴い「働き方」に関するソリューションを顧客に提示することも多く、「まずは自社の取り組みから」と自社改革を進めてきた。最近では大分県の2018年度「『おおいた働き方改革』実践推進モデル企業」に選定されるなど、県内の中小企業の「お手本」として存在感を示している。

社員の声で改革を行い若手の多い職場へ

 改革のきっかけは、職場の平均年齢の高さ、そしてそこから生まれた「危機感」だった。2012年当時、従業員の平均年齢は48歳。事業の発展のため、若い世代の採用は急務だった。この状況を受け、若い世代の働き方のニーズについて情報収集。すると「自分の時間を大切にする」というニーズが浮かび上がった。しかし、当時は夜遅くまでの残業、休日出勤が常態化していた。「変わらなければならない」。古城社長をはじめとした上層部は改革を決意した。

フリーアドレス化されたオフィスの様子

 先陣を切ったのは「オフィスのフリーアドレス化」だ。この取り組みで風通しの良さをアピールし、これまでほとんど新卒採用をしていなかったなか、同年には5人採用した。ここから、毎年安定して新卒採用ができている。

 その後も改革の手を緩めず、若手社員らで作る働き方改革プロジェクトチームを結成。日々の業務で無駄な点、改善できる点を見つけるため、社員らでワークショップを行った。

ワークでは社員同士で日々の業務の改善点を洗い出した

 働き方改革プロジェクトチームの一人、溝口恵吾さんは「若手社員からの意見も多く出て、気づかされる部分も多かった」とワークショップの成果を強調する。

働き方改革プロジェクトチームの一人、溝口恵吾さん

 若手社員の考えを取り入れた結果、「ノー残業デー」や「リフレッシュ休暇制度」などの施策を導入。施策は導入時点から見直しを重ね、改善を続けた。現在では、ノー残業デーは月末の最終週を除く週3日、リフレッシュ休暇は土日をつなげると5日まで取得できる。

 「プライベートな時間が増え、趣味や子どもと接する時間が増えた」と溝口さんが語るように、取り組みは功を奏した。月平均残業時間は2016年の50時間から、昨年は15時間に減少。「働きやすい職場」という認識は若い世代に浸透し、職場の平均年齢は34歳となった。若返りに成功した同社。昨年3月時点では、なんと社員の50%が20代だ。

改革はソフトとハードの両輪

 営業部AT課主任の沓冠(くつかむり)春妃さんは、古城の「働き方改革1期生」と呼ばれる。2012年の5人を採用した世代のうちの一人で、古城の変化を体感してきた。現在は働き方改革プロジェクトチームで中心的な役割を担っており、「入社当時は夜遅くまで仕事をしても『残業』という意識もなかったが、今では社員の意識もかなり変わりました」と変化を実感している。

 昨年6月には営業部で初の1年間の産休・育休を取得し、長男を出産。「女性の後輩も増えてきており、働き方のお手本を示していきたい」と意気込んでいる。

営業部で初の産休を取得した沓冠春妃さん。「女性の後輩のためにお手本を示したい」と話す

 改革は制度などのソフト面だけでなく、ハード面でも進んでいる。社員の6割は営業職であり、以前は勤怠管理や資料作成のために営業先から毎日オフィスに戻る必要があった。しかし、スマートフォンとノートパソコンを全営業社員に配布。その結果、場所を問わず仕事を進められるようになり、訪問先からの直行直帰が可能となった。ICTを提案する企業として、ここでも「まずは自社から」という精神が根付いている。

働き方改革の結果、「プライベートの時間が増えた」と話す溝口さんと家族の様子
長男と過ごす沓冠さん。「子育てと仕事を両立させながら会社の戦力になりたい」と意気込んでいる

「社長面談」「目安箱」で若手の意見を吸い上げる

 「風通しの良さ」はフリーアドレス化だけにとどまらない。世代を問わない円滑なコミュニケーションも重視している。

 古城社長は3カ月に1度のペースで社員と面談を実施。「不満はないか、モチベーションは保てているかを確認している」と、その狙いについて説明する。面談では、仕事のことだけでなくプライベートについてもざっくばらんに語り合う。仕事の進め方について問題提起する若手社員もいるといい、「若手の力強さを実感している」と頼もしそうに語る。

社員の意見を募集する目安箱

 また、オフィス内には手作りの「目安箱」を設置。無記名で仕事に関する「気付き」を募集している。古城社長は「今の働き方改革は社員がいなければ成し遂げられなかった」と強調する。

 改革は上層部の危機意識から始まった。現在は、社員一人一人が「若手が活躍できる職場は何か」について考え、意識改革を行い、実践することで実現できている。古城社長は「自由な時間を有意義に使ってほしい。人、本、旅などに触れ、勉強を続けてくれれば」と若い世代の成長を願っている。

非常事態に大切な「先を見据えた行動」

 新型コロナウイルス感染症は、古城の働き方に大きな影響を与えた。取引先に医療、介護施設があることから、対策には細心の注意を払った。緊急事態宣言時には一日3回のオフィスの消毒、オフィス内の座席の分散、テレワークの実施などを速やかに実行。顧客への訪問は一部取りやめ、オンライン商談を実施した。

 今のところ事業自体への大きな影響は見られないが、古城社長は「状況は変わりつつある。今回についても重要なことは『先を見据える』ことだ」と常に危機意識を持っている。今年3月、新型コロナウイルス感染症のような未知のウイルスだけでなく、予知できない災害の際に社員の命を守るためのBCP(事業継続計画)マニュアルを作成した。古城社長が繰り返す「先を見据えた行動」はここでも実践されている。古城社長は「今回のことで東京、大阪からのUターン需要が高まるだろう。熱意を持った若い世代を受け入れるためにも改革を続けたい」と前を見据えている。

働き方改革が浸透する前の企業チラシ(左)も変化していった

 未来の大分、未来の若い世代のため、今いる若手社員を中心に古城はこれからも変化し続けるであろう。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

風通しの良い職場

効果
オフィスのフリーアドレス化を皮切りに、3カ月に1度の社長面談や目安箱の設置で風通しの良い職場を実現。若手の意見も積極的に受け入れる。
取組2

「ノー残業デー」「リフレッシュ休暇制度」などの制定

効果
最終週を除き、週3日は「ノー残業デー」を実施。月平均残業時間は2016年から昨年で35時間減少した。土日をつなげて5日まで取得できる「リフレッシュ休暇制度」も設けている。制度は見直しを行い、拡充を続けている。
取組3

ハード面での改革

効果
全営業社員にスマートフォンとノートパソコンを配布。資料作成や勤怠管理システムへのアクセスなど、どこからでも事務作業を行えるようになり、訪問先からの直行直帰が可能となった。

COMPANY DATA企業データ

期待を超える価値は、感動を創造していく。

株式会社古城

代表取締役社長:古城一
本社:大分県大分市
社員数:40名(2019年4月現在)
設立:1952年7月
資本金:1,000万円
事業内容:すべての業種のICT化へのお手伝い。キャッチフレーズは「IT/OAと建設ICTでおおいたを元気に」 扱い品目:IT総合サポート、WEB制作、RICOHソリューション、測量・建設ICTソリューション、Officeプランニング

経営者略歴

古城一(こじょう・はじめ)1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、ソニー株式会社に入社。1991年大分に帰郷後、古城に入社し、専務取締役を経て1995年に社長に就任。