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株式会社照正組

業種

建設業

地域

九州・沖縄

従業員数

50〜99人

File.52

社員とともに「ずっとしあわせ」な職場を目指して―戦後沖縄の復興と共に歩んだ総合建設会社「照正組」の場合―

多様な休暇制度

2020.12.22

株式会社照正組

現場作業をする照正組の社員(2020年4月撮影)

 第二次世界大戦で国内唯一の地上戦の地となった沖縄県。戦後間もなく創業した総合建設会社「照正組」(那覇市)は、復興に伴う公共工事を請け負ってきた。地域に貢献しながら発展を続け、2020年10月には創業から70周年を迎えた。「ずっといっしょ、ずっとしあわせ」。70年の節目に改めた経営理念には、「社員を大切にしていきたい」という思いが込められている。社員とともに、幸せな職場を実現するため、同社で進められている改革の姿とは。

労働集約型ゆえの課題を抱える

一新した経営理念について説明する照屋圭太社長。「創業時の魂を残しつつより伝わりやすくするため、全て平仮名にした」と語る

 不動産会社「照正興産」(同県南風原町)、老人ホームを運営する「ケアサポート」(同県与那原町)とともに「てるまさグループ」の一員である同社は、公共事業や土地活用事業を行う総合建設会社だ。照正興産と協同しながら、「土地の仕入れ」「設計」「施工」など、土地活用のスタートからゴールまでを一手に担っている。

 いまやグループ社員数は200人にものぼるが、もともとは戦後からの復興に貢献すべく立ち上げられたという歴史を持つ。照屋圭太社長は「何もない状況で『みんなで飯を食っていこう』という先代の思いを忘れずに進んできた。その思いは今も大切にされている」と説明する。

 同社が掲げる使命「人をつくり、地域に尽くす」にも表れている通り、地域の発展と社員の成長を大切にしながら成長してきた。しかし、建設の現場は人の手による作業量が多くなりがちな「労働集約型」だ。同社の設計部や工事部でも労働時間が長くなっていた。同社では公共事業も担っているが、「公共事業ではない自社で完結する事業については効率化を進められるのではないか」という照屋社長の思いから、2014年ごろから改革が始まった。

「仕事のシェア」を可能にするジョブローテーション

 1998年に照正組に入社した照屋社長は、2018年に社長に就任。その6年前の12年からはグループ会社の照正興産の社長も務めており、働き方で同様の課題を抱えていたことから、照正組に先んじて改革を進めていた。照正組での改革は、そのノウハウを生かして進められた。

 2014年ごろに、最初に実行したのは「仕事のシェア」だ。激務となりがちな設計部の仕事について、他部門で担える仕事はないか業務の洗い出しを行った。洗い出しを行った当時、設計部に勤めていた取締役常務の町田賢一さんは「土日は営業の顧客ヒアリングに同行し、平日はプランニングをする。施工現場にも顔を出す。スタートからゴールまで、業務が多岐に渡っていた」と振り返る。

業務の洗い出しを行った結果、設計部が行っていた敷地調査業務を営業部に担ってもらうなど、業務負担の分散化を進めることができた。かつては「夜の10~11時まで会社に残っていることもあった」と町田さんは苦笑するが、2020年現在では設計部の月の平均残業時間は10時間以内に収まっており、5年前に比べ40時間ほど削減された。

「仕事のシェア」を実行した経緯について説明する町田賢一さん

 仕事のシェアを可能にしているのが、部門やグループ間でのジョブローテーションだ。改革以前は部門ごとでの「縦割り人事」が続いていたが、この習慣を廃止した。「社員一人一人が多くの能力を身につけることで組織を少数精鋭化していく。それは、お客様の価値にもなる」と照屋社長は強調する。例えば、設計のことを知っている営業担当が打ち合わせを行った場合、設計部に確認する手間が減ることで打ち合わせの回数を減らせる。照屋社長の言葉の通り、ジョブローテーションは社員、顧客双方の利益につながっている。

 残業削減の取り組みは設計部だけではない。業務効率改善のために各部署での仕事の優先順位づけを行っていった。「夜に残業していないかパトロールすることもあった」(照屋社長)というように、「その作業は残業をしなければできないのか」と社員に問いかけ、必要のない残業を減らしていく取り組みを続けた。その結果、業界的に難しいとされる週休2日制が2019年から実施できている。

 建築工事課の社員・柿原大弥さんは、「決められた時間の中で集中し、ベストな結果を出している。一日の時間に余裕を感じることができる」と話す。今後の目標については、「仕事以外でも他人と関係を築き、さまざまな人脈を広げていきたい」と力を込める。

一日の時間に余裕を感じられる」と語る柿原大弥さん
「外にお酒を飲みに行くときが一番楽しい」と話す柿原さん

 取り組みは残業削減だけにとどまらない。年次有給休暇取得推進にも力を入れ、休暇取得状況を部門ごとにまとめた「労働休暇白書」を毎年作成している。社員に公表することで、全社的に休暇の取得状況を共有している。 また、十数年前に取得状況の管理の煩雑さから廃止していた、1時間ごとの時間休制度を2018年に復活させた。管理を紙からシステムに移管したことで、復活が実現したという。

「職能」「人間力」両輪の人材育成

「個々人の夢をかなえさせる場にしたい」。照屋社長が思い描く理想の会社の姿だ。その理想を実現するため、同社では人材育成にも力を入れている。

大切にしているのは、「自分がどうなりたいのか」と社員に考えてもらうことだ。同社では入社時の面接で「この会社で何を実現したいのか」「なりたい自分とは何か」を問いかける。入社後も「短期の目標」「長期の目標」などをまとめたキャリアステップ表をもとに、面談を年2回実施。当初は社長が面談を実施していたが、現在は各部門長が行っている。

社員の成長を応援する制度も整っている。「経営理念研修」「業界基礎研修」「ビジネスマナー研修」など、多くの研修が用意されており、理念についての理解や基礎知識に加え、人間力を磨いていく。業務に関する資格取得についても、金銭面でバックアップしている。

一般的に建設業では、資格取得のための講座を受けることとなる。その際の受講料は10万~90万円と高額になりがちだ。そのため同社では5年ほど前から、資格取得金貸与制度を始めた。この制度は、社員の受講費を一括で会社が立て替え、給与から毎月天引きする形で返済してもらうというものだ。照屋社長は「人材育成には『職能』と『人間力』の両輪を回しながら進めていくことが大切。自己実現のためのストーリーを社員と一緒に考えていきたい」と社員育成への思いを語る。

営業、設計、施工など建築に関わる全ての業務を経験できることに魅力を感じたという田中誠也さん

設計課の田中誠也さんは、建築に関わる業務全てが経験できることに魅力を感じて入社した。「会社はさまざまな研修に行かせてくれる。物件見学やセミナーを通して知識の修得だけでなく、人間的な部分の成長ができている」と話す。

社員旅行で笑顔の田中さん

リモートワークを推進

リモートワークの推進に向け職場環境を整えている

 新型コロナウイルス感染症の影響により、業種を問わず対面型の営業、商談を行いにくくなった。同社の土地活用事業には、セミナーでの集客が不可欠。対面型セミナーが難しくなり、ウェブセミナーを実施したというが、商談に結びつくケースは減っているという。「建築系の案件は2~3年後に形になる。今の状況の影響は数年後に出るだろうが、正直言って見通しが立っていない」と町田さんは説明する。

 それでも、照屋社長は「今回のことで働き方の転換点が見えた」と前を見据える。現在は設計図の作成など、オフィスに来なくてもできる仕事は在宅で行うようにし、リモートワークができる環境を作りつつある。照屋社長は「社員が望むのならば、この環境を続けていきたい」と話す。

 予期せぬ危機に、厳しい道のりは続くが、社員とともに幸せな職場の実現のため、同社は戦後間もないころから走り続けてきた。今後も状況に合わせ変化を続けながら、危機を乗り越えていく。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

部門やグループ会社を超えたジョブローテーションで「仕事のシェア」を実現

効果
部門ごとの「縦割り人事」を廃止し、グループ会社の間でもジョブローテーションを実施。さまざまなスキルを持った社員を増やすことで忙しい部門の業務を他部門にシェアすることができ、残業時間の削減と週休2日制を実現した。
取組2

時間休制度の復活

効果
取得状況の管理が煩雑だったため廃止していた時間単位の年次有給休暇制度を復活。紙からシステムで管理することで実現した。
また、休暇取得状況を部門ごとにまとめた「労働休暇白書」を作成し、社員に公表することで、休暇の取得促進の一助となっている。
取組3

人材育成に注力

効果
年に2回の部門長の面談で個人のキャリアを明確化。社内研修を充実させるほか、資格取得金貸与制度を導入することで「人間力」「職能」両輪の人材育成に注力している。

COMPANY DATA企業データ

人をつくり、地域に尽くす

株式会社照正組

代表取締役社長:照屋圭太
本社:沖縄県那覇市
従業員数:55名(2020年9月現在)
設立:1977年1月(創業1950年10月)
資本金:4,000万円
事業内容:公共工事、アパート建設、介護施設、土地活用などの総合建設業

経営者略歴

照屋圭太(てるや・けいた) 1976年生まれ。京都建築大学校卒業後、営業経験を経て、98年、照正組入社。専務取締役を経て2018年、社長就任。12年からグループ会社である照正興産の社長も務めている。「愛・貢献・達成」を大切にしている。