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リデル株式会社

業種

情報通信業

地域

関東

従業員数

50〜99人

File.65

いつでも、どこでも、誰とでも仕事ができる働き方を実現―インフルエンサーと企業を結び、マーケティングを支援する「リデル」の場合―

テレワークの推進

2021.02.04

リデル株式会社

意見交換が活発に行えるように、社内には気軽に利用できるオープンスペースがある

 リデルは、2000年からベンチャー経営を手掛けてきた福田晃一CEOが2014年に設立した。ソーシャルメディアで大きな影響力を持つインフルエンサーと企業をつなぐ新たなマーケティング手法で、商品開発や効率的な宣伝・販売を促進し、個人事業主の支援も行う。ICTを活用しながら、「人とのつながり」「人的ネットワーク」を大切にしてきた福田CEOが推進するリデル式働き方改革とは。

リデルの福田晃一CEO

クラウドワーカーの導入で仕事を効率化

 コミュニケーションツールとして広がったSNSは、今や重要なマーケットの一つだ。企業に属さずSNS上でビジネス展開をする個人事業主も増える中、クリエイティブな才能と独自の感性・価値観で多くの支持者(フォロワー)を集める「インフルエンサー」に企業が注目している。自社商品の宣伝や販売促進、ひいては企画開発に至るまで、彼らの能力を活用しようとしている。

 しかし、インフルエンサーはあくまで個人。そこで、同社は設立以来、個人と企業をつなぐ「インフルエンサーマーケティング」を行ってきた。2018年からは、インフルエンサーを社会貢献する存在として自立を促す新たな段階を目指している。

オフィス内には、カフェスペースなど、ちょっとした談笑ができる場もあるなど工夫されている

 「今後はどこかに属して誰かの力で何かをやるのではなく、自分の足で立ち、持続的にクリエイティビティを発揮できる働き方が重要ではないかと思っています」と福田CEOは話す。

 東京都渋谷区内にある本社は開放的で、気軽に談話ができるスペースが充実している。チームごとに固定の席を持ちつつも、社員は社内のどこでも仕事ができる。また、カフェスペースもあり、コーヒーを飲みながら打ち合わせをしたり、新たな企画を考えたりすることができるように工夫されている。

 現在、同社と協働するインフルエンサーは約3万人いる。そのフォロワー数は延べ5億2,000万人。クライアント企業は多業種にわたり、約5,000社。同社はクライアント企業とインフルエンサーとのマッチングプラットフォームをはじめとする多彩な事業を進めており、社員たちは、さまざまな対応に追われている。

 そこで、社員たちの業務をサポートする役割として、「クラウドワーカー」の導入を図っている。現在、同社のオフィスワーカーは正社員60名とアルバイト10名ほどだが、一人が行う仕事の中には、リサーチや集計など、誰でもできる仕事もあれば、独自性の高いクリエイティブな仕事もある。そこで、誰でもできるような仕事を外部に委託するものだ。

 その仕組みは、リモートワークが可能な外部人材を「クラウドワーカー」として位置づけ、社員に独自性の高いクリエイティブな仕事をしてもらい、代替できる仕事はクラウドワーカーたちに委ねることで、社員は自分らしさを発揮できる仕事に専念でき、仕事の効率化を図ることができる。そして、空いた時間でプライベートな時間を充実させることも可能になる。

 マーケティング部のリーダーを務める萩原雄太さんは、福田CEOのビジョンを現場で推進する役割を果たしてきた。萩原さんは「僕自身も、自分の仕事のどこを仕組み化していけばいいのか、とても難しかったので、いろんな部署の人と協力しながらやっていきました。たとえば、以前は手書き管理だった顧客管理ツールをデジタル化したら、いろんなスタッフと連携でき、戦略的な営業ができるようになりました」と話す。

 2019年3月から2020年12月まででクラウドワーカーに委託した仕事は時間にして月平均5,390時間。これを社員の業務時間(月平均160時間)で割ると約34人分に相当する。2019年11月に 46時間あった社員の月平均残業時間が、クラウドワーカーへの仕事の委託を本格的に始めた同年12月には27時間にまで減った。各自の仕事が「見える化」され、仕事のパフォーマンスが向上したおかげで、年次有給休暇の取得率も上がったという。

 「ちゃんと働いているという意識があるから、自信を持って休暇が取れるようになったということでしょう。働く時間を短縮することも大事ですし、各自が効率的に工夫しながら働くことで、より主体的、能動的になってきたと感じます」(福田CEO)

社員と気さくに意見交換する福田晃一CEO(中央)

DX化と契約事務のデジタル化で完全リモート化が可能に

 萩原さんが中心となって2019年から進めてきたのがDX(デジタルトランスフォーメーション)化だ。リモートワークを行う上で、顧客管理ツールをはじめ社内のすべてのコンピューターシステムに外部環境から二段階認証でアクセス可能にする必要があり、そのためのセキュリティ装備を強化した。同時に進めたのがパソコンやモバイルデバイスから契約書などに電子的に署名捺印、合意内容を記録し安全に保管するサービスの導入である。

 コロナ禍でテレワークが推奨される中、大きなネックになったのが契約時や取引上で必要となる印鑑の押印だった。外資系企業など一部では既にオンライン契約が進んでいたが、国内の半数以上の企業は書面による手続きや押印を必要とし、そのため、多くの社員が自粛期間中も出社を余儀なくされていた。政府が行政手続等における押印手続を見直す方針を示したことで、今後は全国的にデジタル化に向かうと予測されるが、リデルでは2019年に既にその土台ができていた。

 「コロナ禍でも導入したサービスを使ってデジタル上で契約申請や捺印ができたので、クライアントやインフルエンサーとのやりとりは出社しなくてもスムーズにできました。おかげで4月から完全リモートワークでした」(萩原さん)

 自粛期間が明けた後も、出社するのは月曜と金曜で、火曜から木曜は原則リモートワーク。月曜日は社員研修などに充て、「勉強する日」と決めている。こうした戦略は営業的にもプラスに反映し、2020年5月と比較した12月の同社の売上実績は2.83倍まで上昇した。

マーケティングの責任者でシステム化と効率化の推進役、萩原雄太取締役

インフルエンサーが社員として活躍

 同社には、「プロスト」と呼ばれる事業部門がある。これは、SNS上で多大な影響力を持つインフルエンサーに、企業が自社製品の購買意欲を上げるようなSNS上のコンテンツの制作・運用を依頼するサービスである。ここで活躍する神尾美沙さんは、自身がもともとコスメや美容などの情報発信で注目されるインフルエンサーだった。リデルに入社後は、プロスト運営チームのマネージャーのほか、月に約30人のインフルエンサーと会い、そのインタビュー・メディアを運営する事業部のリーダーも務めている。

 「インフルエンサーが企業のSNSをプロデュースしていく中で、双方の架け橋のような調整役です。インフルエンサーに任せられる仕事はSNSなどを通じてどんどんお願いし、自分にしかできない仕事に全力投球できる仕組みは、すごくいいなと感じています」(神尾さん)

 リアルな声で企業に市場動向を伝えられる神尾さんは、インフルエンサーという個人事業主のロールモデルであり、リデルが未来志向で構築している働き方を体現する存在にもなっている。

インフルエンサー出身のリーダー、神尾美沙さん

「リデル式ジョブ型雇用」を本格運用化へ

 福田CEOが示す未来志向の働き方とは、「組織において役割とビジョンを同じくした上で、自分がやりたいことを自由に多様に選択していける」という働き方だ。従来の日本企業は人を採用してから仕事を割り振る「メンバーシップ型雇用」だったが、最近注目されている「ジョブ型雇用」は仕事に対して人を割り当てるというもの。福田CEOが今後、本格運用を考えているのは両者を併用した雇用のあり方だ。スキルのレベル化や成果に応じた報酬体系などが検討されている。

 ジョブ型は、個人の業務に目的が明確化して多様性ができる反面、組織としては一様性に欠ける。そこで、会社としての共通認識は残しつつ、社員は会社のために働くのでなく、効率化できるものは「仕組み化」する。仕組み化とは、各自が行っている業務を誰もが運用可能な状態に標準化すること。業務依頼をマニュアル化し、業務内容や注意事項などの前提情報と成果物を定義して、手順や作業のプロセスを細かく書き出す。作業を単位化して、誰でも再現できるようにすれば、自身はクリエイティブ、イノベーティブな仕事に専念して自分のために働ける。福田CEOが考えるのは、そんな「リデル式ジョブ型雇用」なのだ。

 「今、多くの企業でDXが目的になってしまっていますが、デジタル化は人の能力を向上させるための手段だと思います。社員の仕事がどうなっているかといった過去への管理ではなく、この人たちをどうしたいかという前向きなマネジメントをすべきではないでしょうか。もっとも、これは60~70人のベンチャー企業だからこそできる強みで、大企業に勝てる要素かもしれませんが……」(福田CEO)

打ち合わせスペースの壁面は一面がホワイトボードになっており、ミーティング中も、その場で書き込みながら説明ができる

 インフルエンサーはもともと多くのフォロワーから見られていることで自立した存在といえるが、企業のPRを任せる上では、その信用度も「見える化」する必要がある。同社には「信用度スコアリング」や研修制度があり、今後はインフルエンサーが個人事業主として自立するために、将来を考えた「少額資金投資」で、同社が金銭的な支援も行い、将来設計が立てられるようなサポートをしていく予定だという。

経験や専門性があるシニア層を活用

 同社は、シニア層がSNSなどを使いインフルエンサーとして活躍してもらえるような支援も行っており、最高齢は84歳だという。SNSをうまく使えるシニア層が、その経験や専門性を生かしていれば、たとえ地方で一人暮らしをしていても、いつでも人とつながり、仕事ができる。

 「人生100年時代になって、まだまだ働ける。そんなシニア層に新しいツールを提供していったら、活用できると思いませんか。おばあちゃんが山菜を採ってSNSを使って発送するとか。これも働き方改革の一つでは。お年寄りの生きがいにもなるはずです」と福田CEOはほほ笑み、シニア層を対象にSNSレクチャーやワークショップ、支援なども企画している。

 いつでも、どこでも、誰とでも仕事ができる。同社の企業コンセプトは、大企業の働き方にも一石を投じるとともに、高齢化社会に即した新しい働き方のモデルとなるかもしれない。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

社員の仕事を「見える化」し、クラウドワーカーを活用

効果
他人に任せられる仕事を全国のクラウドワーカーに割り振ることで、スタッフ34人分相当の時間が、よりクリエイティブ、イノベーティブな仕事に充てられた。2019年11月に46時間あった月平均残業時間は、クラウドワーカーへの仕事の委託を本格的に行った同年12月には27時間に大幅削減された。
取組2

DX化、電子サイン導入で完全リモート化を実現

効果
以前から進めていたDX化や電子署名捺印などにより、コロナ禍において完全リモート化を実現。スムーズに事業を推進でき、社員は空いた時間をプライベートに回せるようになった上に売上も7カ月前と比べて3倍近くアップした。
取組3

テレワークを安心してできるセキュリティ環境を整備

効果
顧客管理ツールをはじめ、すべての社内リソースに外部環境からでも二段階認証でアクセス可能に。テレワーク中も安心して仕事がこなせ、事業に遅れをとらない体制が整備できた。

COMPANY DATA企業データ

個人の影響力を、人々の未来のために。

リデル株式会社

代表取締役/CEO:福田晃一
本社:東京都渋谷区
従業員数:60人(2020年11月現在)
設立:2014年
資本金:約3億5,000万円
事業内容:SNSを介して個人と企業が直接取引できるプラットフォーム事業を展開。インフルエンサー検定や教育事業を推進しながら、企業とのマッチング、ソーシャルメディアクリエイティブサービス、インフルエンサーを通じて商品を宣伝・販売できるマーケティング支援サービスを展開。

経営者略歴

代表取締役/CEO 福田晃一(ふくだ・こういち)
1979年、高知県生まれ。2006年、株式会社ツインプラネットを創業後、2014年にリデルを設立し、SNSマーケティング事業を展開。個人と企業が直接仕事の取引ができる多彩なプラットフォームを開発・運営し、SNSを介した個人の可能性をマーケティングしている。著書に『共感マーケティングのすすめ』など。