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株式会社EXIDEA

業種

情報通信業

地域

関東

従業員数

50〜99人

File.69

「相互信頼」「相互尊敬」が一人一人の居場所を作る―デジタルマーケティングを展開する「EXIDEA」の場合―

テレワークの推進

2021.02.04

株式会社EXIDEA

 米・ロサンゼルスやベトナム・ハノイにも拠点を持ち、グローバルな視点でデジタルマーケティングを展開するEXIDEA(東京都墨田区)。マーケティング関連のツールを開発するなど、業務範囲は多岐に渡る。コロナ禍においては、全社的にリモートワークを実施し、ほとんどの社員が在宅勤務を続けている中でも、社員満足度を高めるよう努力を続けている。そんな同社の働きやすい職場作りの原点は、意外にも「居場所となるような会社」という、従来から大切にされているような考え方だった。

社員の共通認識「コアバリュー」

 2013年5月、小川卓真社長は兄の弘喜さんとともにこの会社を設立した。「日本は優れた技術力を持っているのに、デジタルマーケティングの分野が弱いために海外で戦えていない。日本はこのままで大丈夫なのかという思いがあった」と小川社長は振り返る。前職でもデジタルマーケティング会社の副社長を務めており、ノウハウはあった。経験を生かしながら成長を続け、ともに歩む仲間も増えた。

 会社の立ち上げ時から大切にしている考え方がある。それは「不器用な人でも働きやすい、家族のような会社を作る」ということだ。前職の会社は役員と社員との距離が遠い印象を持っていた。また、兄は大企業に勤めていたが、体調を崩していた時期もあった。そんな経験から「互いが取り繕うことのない、『相互信頼』『相互尊敬』ができる環境が大切だ」と考えるようになった。

同社のコアバリューについて説明する小川卓真社長

 小川社長の考えを体現するのが、同社が大切にしているコアバリュー「THE SHARE」だ。これは立ち上げ当初の経営理念「お互いに尊敬でき、信頼できる家族であれ」についてさらに考えを深め、明文化したもの。「THE SHARE」のアルファベットから「Thanks(感謝)」「Happy(幸せ)」「Enjoy(楽しむ)」「Sincere(誠実)」「Humble(謙虚)」「Altruistic(利他的)」「Responsible(責任)」「Enthusiasm(情熱)」を設定し、同社が大切にする価値観を社員全員が共有している。そして、入社にあたってはコアバリューへの共感度を重視している。

 コアバリューのもととなった経営理念は小川社長と弘喜さんが共に考えた。弘喜さんは昨年まで副社長を務めていたが、傷病の治療のため役員を退き、現在は管理部門で会社を支えている。小川社長は「兄は愛を持って今の役員メンバーを育ててくれた。そのメンバーが会社の文化を支え、今の当社がある」と感謝の言葉を述べる。

「働きがい」を重視

 コアバリューにも表れているように、働きやすい職場作りは設立当初から当たり前のものとして意識されていた。「世界の人たちを生き生きとさせたいならば、自分たちがいきいきしていなければならない」と小川社長は力を込める。

 働く環境作りは、働く場所づくりから始まっている。2019年9月、オフィスの移転に伴い、社員たちが協力し、オフィスを作っていった。専門的な部分についてはデザイナーに委ねているが、塗装や机の配置など、できる範囲のことは自分たちで手がけた。小川社長は「自ら作ることでオフィスに愛着がわく」と、その狙いについて解説する。オフィスには酸素カプセルが置かれているなど、社員がリフレッシュしながら働ける環境が整えられている。

オフィスの一部は社員たち自らが作り上げた

 コアバリューを重視し、「相互信頼」「相互尊敬」をする土壌があることから、それぞれの裁量に合わせた働き方が実現できている。3年ほど前からは時差出勤を実施。休憩1時間を除く8時間勤務の範囲であれば、始業時間と終業時間を自由に決められる。ライフスタイルに合わせた働き方ができることもあるが、「それぞれで集中できる時間帯は違う」(小川社長)と、導入の背景について説明する。

 残業についても「長く仕事をすることで評価されるわけではない」という意識が社員に浸透している。人事制度にも同社が大事にしている企業文化への貢献を評価する項目があり、時間よりも貢献度合いで評価する仕組みだ。「残業はどうしてもその日にやらなければならない仕事がある場合にするもの」という意識が社員にある。自律した働き方の原点は「相互信頼」「相互尊敬」。社員同士で互いを信頼し、尊敬しているからこそ、それぞれが自分に合ったスタイルで働くことができている。

 小川社長は「本当の働き方改革は個人の『働きがい』を考えることだ」と強調する。基本的な環境が整うことで、初めて個人が働きがいを追求できると言えるだろう。

家族のようなコミュニケーションがリモートワークの成功に

 同社ではコロナ禍において、3月から全社的にリモートワークを実施している。現在も部署ごとに行うミーティングのために出社する以外は、基本的にリモートワークを行う日々が続いている。

 しかし、社内のアンケートでは「仕事のパフォーマンスが下がっていると感じる」と答えた社員は1人もいなかった。組織のメンバーの心理的、身体的状態やパフォーマンスなどを判断するツールで最高ランクを獲得するなど、リモートワーク後も組織のゆがみは見られてはいない。

 今年の3月に入社した永久和義さんは、入社直後から在宅勤務が続いている。11月は1度出社したのみだというが、「不安は全くなく、毎日ワクワクしながら働けている」と笑顔で話す。

入社直後から在宅勤務を行っている永久和義さん

 入社直後は会社についての理解も深まっておらず、一般的には不安を感じやすい。それでも、永久さんが不安を感じずに勤務できているのは、オンラインでの朝礼や、部署ごとの夕礼を実施されているなど、非対面であっても「コミュニケーション」を重視する環境が構築されているためだ。昼休憩時にもオンラインランチを行うなど、在宅勤務で疎かになりがちな社員間のコミュニケーションに積極的に取り組んでいる。

 同社に入社する前は接骨院に勤務していたという永久さん。ウェブ関係の業務に興味を持っていたこともあり入社を決めたが、「先輩社員が面談を行う時間を取ってくれる。確実にスキルが身につき成長していると実感できている」と話す。音声通話のツールを導入していることで、社員間でいつでも声がけできる環境も整えられており、在宅だからといって一人で仕事をしている孤独感を感じることもない。

広報や人事を担当している川原慶明さん

 リモートワークが成功している現状について、広報や人事を担当しているコミュニケーションデザイン室の川原慶明さんは「特別なことをしているわけではない。EXIDEAは本当に家族みたいな会社。『相互信頼』『相互尊敬』を全社員が大切にしている結果」と解説する。川原さんは学生時代に同社のインターンシップに参加し、別の会社で1年半勤務した後に入社した。「一度外を見て、この会社のビジョンや大切にしているものが本当に良いものだと実感した」と話す。今後の組織のあり方として、個人の自己決定を重視する自律した組織「ティール組織」を理想に掲げながら、人事担当として組織を活性化させていくつもりだ。

 家族のようなコミュニケーションを意識的に行っている以外にも、入社時から会社に対しての共感度が高いことも柔軟な働き方やリモートワークの成功に結びついている。小川社長は「在宅勤務はもちろんだが、働き方の幅をこれからさらに広げていくつもりだ。それぞれに合った働き方は何か考え続けたい」と前を見据える。

リモート朝礼の様子。コミュニケーションを密に行うことで全社的にリモートワークが行えている

事業も働き方も発展途上

 コロナ禍において、社会のデジタル化が進みつつあり、同社の事業へのニーズは高まっている。多くの企業が大きな変化に直面しているが、小川社長は「変化とは常に急であって驚きはない、現状でベストな状態を見つけるということに変わりはない」と話す。リモートワークが成功したことにより、人材採用の幅も広がりつつある。九州の学生が長期インターンシップに参加しているが、会ったのは数回程度。距離的なハードルはなくなりつつあり、地方に事務所を構えようと考えていたが、それも必要がないと考え始めている。

 若い社員が多く、結婚する女性社員も増えてきた。「今後は女性が働きやすい仕組みをもっと整えていく必要がある」(小川社長)という同社は、事業も働き方も発展途上にある。コアバリューを大切にしながら、挑戦し続けていく。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

コアバリューの全社員への共有

効果
会社が大切にするコアバリューを掲げ、全社員がそれに基づいた考え方、行動を実行している。入社時にもコアバリューの共感度を重視している。
取組2

柔軟な働き方

効果
「相互信頼」「相互尊敬」の価値観が共有されている結果、時差出勤を行えている。個人を尊重する文化が自然とあることから、残業の抑制や年休の取得のしやすさに結びついている。
取組3

コミュニケーションを密にしてリモートワークを運用

効果
オンラインでもコミュニケーションを重視する環境が整えられていることでリモートワークの運用にも成功。社員の心理的、身体的負担もなく業務を進められている。

COMPANY DATA企業データ

デジタルマーケティングの力で、ゲームチェンジャーを生み出す。

株式会社EXIDEA

代表取締役社長:小川卓真
本社:東京都墨田区
従業員数:単体48名、連結65名(2020年4月現在)
設立:2013年5月
資本金:1500万円
事業内容:SEOツール開発提供、SEOコンサルティング、動画制作・動画マーケティング、WEBメディア運営、WEBコンサルティング、WEB広告運用

経営者略歴

小川卓真(おがわ・たくま) 1981年神奈川県生まれ。2004年に立教大学経済学部卒業後、株式会社ジェーシービーに入社。2006年にSEOツール開発企業を共同で設立し、2007年に副社長に就任。退職後、2013年に株式会社EXIDEAを設立。