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株式会社シケン

業種

その他

地域

中国・四国

従業員数

301人〜

File.91

仕事と家庭の両立を支援するための制度や労働条件の整備に取り組む-全国に展開する歯科技工所「株式会社シケン」の場合-

時間外労働の削減

2021.12.16

株式会社シケン

 歯科医院から受注した、詰め物、被せ物、義歯、ブリッジなどの補綴物を提供する株式会社シケン(徳島県小松島市)。全国に営業所26カ所、技工所7カ所を擁し、社員数は約690人。そのうち歯科技工士は約400人、営業その他が約290人。規模としては全国№2という大手だ。コンピュータによって被せ物を加工するCAD/CAM冠の技術力が高く、2016年には「日本歯技」で最優秀論文も受賞した。さらに、機械化が進む現在は3D化にも着手している先進企業。その一方で、社員に対してもっとも力を入れているのが「働き方改革」だ。

電子タイムカード導入で時間外労働時間と離職率の削減に成功。

 「私たちが取り扱う補綴物は唯一無二であり、完成するまでの工程は機械化が進みにくいオーダーメイドで、歯科技工士の手に頼らなければなりません。ところが、現在はとくに若い世代の歯科技工士の就労者数の減少が顕著になっています」。こう語るのは島隆寛社長。

 その原因は、少子化による養成学校への入学者減少、労働条件、職場環境、家庭事情などのさまざまな理由が考えられる。島社長は、企業として歯科技工士数の減少に歯止めをかけるには、養成学校への入学者数の増加に力点を置くことより、有資格者が仕事を継続できる環境を整えるための対策を優先すべきだと考え、働き方改革へと取り組んだ。

有資格者が仕事を続けられる環境作りを優先したいと島隆寛社長

 そのために、まず時間外労働の削減に注力した。10年前から本社で一括管理できる電子タイムカードを導入して、各技工所の就業時間をコンピュータで管理して労働時間の平準化を図った。導入前の時間管理は手書きの出勤簿だったため、月ごとの集計後でないと勤務時間は把握できなかった。これがリアルタイムで可能となった。長時間勤務の対象となった社員にはアラート情報を配信し、勤務時間の状況把握と過重労働に陥らないよう翌月の業務調整を行うことになった。

 これが奏功して時間外労働時間が激減した。また、社内で調整できない場合は外部委託によってバランスを取り、社員への負担軽減を実現した。年間の休日数を増やす取り組みも進んでいる。こうした取り組みが、もうひとつの課題だった離職率低下にも及んでいる。

 中村俊史総務部長は「四国には歯科技工学校が3カ所ありますが、その一部は定員割れしている状況です。当社も北海道から九州まで足を伸ばして人材確保に努めましたが、採用できても職場の人間関係や長時間労働のために離職者が相次いでいました。それが働き方改革に取り組んだ結果、離職者の低減にも繋がりました」と頬を緩める。

 また、時間短縮に伴う生産効率の向上にはシケンメソッドというマニュアルを作って対応している。「個人ごとに異なっていた技術も標準化され、生産性だけでなく誰が手がけても均一で標準化された製品の提供が実現できた」と中村部長。

時間外労働時間への取り組みが働きやすい環境への第一歩と中村俊史総務部長

女性だけでなく男性も含めた「仕事と家庭の両立支援策」

 最近の傾向として歯科技工士を希望する女性が増え、技工学校の入学者の半分が女性というケースもあるという。同社も同様の傾向にあるが、結婚、出産などで退職する女性への対応にも取り組んでいる。産休・育休が取得できることは当然、子どもがまだ小さくて手がかかるなど、正社員として勤務が難しくなった場合は社員の希望により、契約社員・パート社員へ変更できる雇用形態変更制度を実施している。子どもの手がかからなくなったら最終的には正社員に復帰できるなど、社員の希望に極力沿えるような努力を重ねている。これにより、2018年には「女性活躍・子育て支援リーディング企業」として最優秀賞を受賞した。

 また、次世代育成支援対策推進法に基づき策定した一般事業主行動計画の取り組みの成果もある。2015年から20年までの第4期の計画は【①短時間勤務制度の対象となる子の年齢を「3歳未満」から「小学校就学前」へ拡大②男性の育児参加を推進するため、育児休業制度の周知をする③配偶者が出産する際の父親の特別休暇取得率を80%以上にする④所定外労働を削減するため、時短を推進する】を目標として策定したが、この目標を達成するなど、基準を満たしたため、子育てサポート企業として厚生労働大臣から認定マーク「くるみん」を2020年9月に取得した 。

 次の第5期(2020年4月~2025年7月)の計画は、【①男性の育児参加を推進するため、配偶者出産時の特別休暇取得率100%にする②時間外労働を削減するため、ノー残業デーを月1回目標に定める③働き方の見直しを図り、有給休暇の取得率を計画期間前よりも向上させる】を目標とし、仕事と家庭の両立支援をさらに推進している。

さまざまな改革の推進が、仕事と家庭の両立支援に繋がっている

生き生きと働ける職場環境で社員とその家族をサポート

 健康やメンタルへの配慮も充実している。例えば、健康診断の結果で再検査が必要な社員へは個人宛に通知を行い、必要とする時間は特別休暇を認める。全事業所でストレスチェックを実施し、高ストレス社員には早期対応を施す。メンタルヘルスとして相談窓口を設け、管理者面談で対応し、復帰後は個別の復帰プログラムを提示して働きやすい環境を提供している。

 役員による社員面談を実施し、要望や相談には人事課直通の「シケンほっとライン」がある。これは、電話、メールだけでなく匿名の郵送も可能。また、会社の取組や状況について社員が評価する無記名式アンケートを実施して風通しのよい社風を目指している。

 そのほか、SNSによる社内情報の発信、傷病を抱える社員には復職に向けての支援対策など、きめ細かい対応で社員のポテンシャルとモチベーションを引き出している。こうした取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で選ぶ「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)」に認定された。

 中川憲子総務課長は「当社には多能工化という言葉があります。これは、各部署で一人しかできない業務をなくし、互いにフォローし合える環境作りです。技術の習得が早く、誰かが急に抜けたとしてもすぐに対応できるメリットもあり、必然的に効率アップに繋がっています」と語る。休みを交代で取得することもでき、複数の社員が業務に携わることで時間の短縮にも繋がっている。

社員の働きやすい環境作りをサポートする中川憲子総務課長(左から2人目)

 「給料や休日の多さも大きな要素だが、心理的な要素として共に育つ仲間と切磋琢磨する社風を確立させたい。日々成長を実感し、誇りを持って仕事に取り組める会社でありたい」と島社長。さまざまな取り組みの積み重ねが、課題だった長時間労働と離職率の削減を始め、働きやすい環境へと実を結んでいる。

CASE STUDY働き方改革のポイント

取組1

時間外労働の削減

効果
コンピュータによる一元管理によってリアルタイムで勤務時間の管理が可能となった。超過勤務の対象社員には過重労働に陥らないよう調整を行い、大幅に時間外労働が削減できた。
取組2

子育てを支援する職場作りの推進

効果
女性社員だけでなく男性社員も子どもの養育や家族の介護など、不安なく「仕事」と「家庭」を両立できるようになっている 。2020年には、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の目標達成により、子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得した。
取組3

社員の健康への取り組み

効果
健康診断受診推奨、職場の活性化、健康維持・増進、メンタルヘルス対策などの取り組みと成果により、「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)」に認定された。

COMPANY DATA企業データ

歯科業界に関わる人たちとの「共育ち」を目指す

株式会社シケン

代表取締役社長:島 隆寛
本社:徳島県小松島市
従業員数:682名(2021年6月現在)
設立:1979年
資本金:4,975万円
事事内容:技工物の製造・販売。歯科材料の販売。咀嚼機能材料の研究・開発

経営者略歴

島 隆寛(しま・たかひろ) 1975年徳島県生まれ。早稲田大学法学部卒。1994年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2001年株式会社シケンへ入社、取締役に就任。2002年同社常務取締役就任。2003年同社代表取締役社長就任。同年株式会社クエスト代表取締役社長就任。2019年徳島県中小企業家同友会代表理事に就任。